コンビニのおばさん、ありがとう

三重県鈴鹿市の小学校教諭・長岡むつみさんからの便りです。

 数年前の4月。桜が満開の頃。
2時間目の授業の時間帯に、学校から700メートルくらいのところにある桜島公園に、6年生の児童たちを連れてクラス写真・個人写真を撮りに行ったときの話です。

 公園に着くと、そこはなぜかゴミだらけでした。
この後、午後からは2年生と4年生も写真を撮りに来ることになっていました。年上の6年生が先に来ていながら、そのままゴミを見て見ぬフリにしておくわけにはいきません。
子供たちに呼びかけて、みんなで掃除をすることにしました。
しかし、ゴミを入れる袋がありません。たまたま公園の真向かいに、コンビニのサークルKがあったので、ゴミ袋を買いに行きました。

 ただ、財布を持っていなかったので、レジのハートのおばさんに事情を説明し、
「お昼休みにお金を持って来ますので、先にゴミ袋をいただけませんか」
と頼みました。

 すると、そのおばさんは、
「先生、申し訳ありません。そのゴミは、きっとうちの店のお客様が花見をされた際に捨てたものにちがいありません。いえ、それがほとんどでしょう。本当は私たちが拾わなくちゃいけないのにすみません」
と言い、コンビニのお店の専用のゴミ袋(事業用ゴミ袋)を取り出して、
「これを使ってください」
と差し出されました。さらに、
「集めていただいたゴミは、うちの店で引き取らせて下さい」
とまでおっしゃいました。

おかげで、6年生110名全員が力を合せて、あっと言う間に公園はキレイになりました。

 今の世の中というのは、仕事の枠が決められていて、それ以上のことはなかなかできないものです。それ以上のことをすると、「損」だという人も大勢います。そんな中で、このおばさんは素晴らしいです。

 このおばさんの上司である店長さんにお礼とともに報告したくて、何度もお店を訪ねました。でも、店長さんは他のお店も掛け持ちしているらしくなかなか会うことができませんでした。

 そこで、思い切ってインターネットで調べて、サークルKの社長さんに手紙を書いてお礼の気持ちを伝えました。半月ほどして、社長さんからご返事が届きました。そこには、
「お便りをいただいた、そのパートさんこそがサークルKが目指している仕事の姿勢です。全スタッフにも伝えたいと思います」
という趣旨のことが書かれていました。

 その後、再びおばさんに会うことができ、改めてお礼を言いました。

志賀内泰弘

先生も素晴らしいし、子供たちもいいなぁ。コンビニのおばさんもステキだし、返事をくれた社長さんも好感!みんな「いい人」ですね。こういう人たちが、日本という国を良くして行くのだと思いました。