コンビニのカリスマ店員・・・ケンタッキー副店長会議から
沖縄県浦添市に(株)リウエン商事という会社があります。
ケンタッキーフライドチキン(KFC)やドトールコーヒーの加盟店を十数店舗も沖縄県内で展開している会社です。
それぞれのお店の店長、副店長さんが集まる月に一度の会議で、全員から「ちょっといい話」を報告してもらうコーナーがあります。私も二度、オブザーバーとして参加させていただいたことがあるのですが、次から次へと「いい話が出るわ、出るわ」。
その中から一つ、紹介させていただきます。
KFCの那覇市小禄に勤めるIさんは、いつも深夜にコンビニ「ココストア」を利用しています。買う物は、もっぱらタバコと缶コーヒーです。
ある日のことです。
いつものように、タバコが欲しくて、カウンターに真っ直ぐ向かいました。
Iさんが、
「タバコ・・・」
と言いかけた瞬間、メガネをかけた笑顔の男性の店員さんが、
「〇〇ですね」
と銘柄を言い、タバコを取りに行って渡してくれたのだそうです。そのお店には、何人かの店員さんがいるそうです。Iさんの記憶では、以前に一度だけレジで接客をしたことがある人でした。
「たった一度だけ」なのに、自分のタバコの銘柄を覚えていたくれたことに驚きました。
そして、その後も、その店員さんは、Iさんの姿を見るだけで、スゥ~と自然に陳列棚のタバコに手が伸びるそうです。
ときには、タバコを買うつもりがない日でも、
「ハイッ」
と言って、タバコを取ってくれることがあるそうです。そんな時、Iさんは、心の中で苦笑いをして買うそうです。
(まあいいか、まだ残っているけど予備に買っておくか)
と思って。
自分がケンタッキーという接客の仕事をしていることから、この店員さんの行動が気になり、サービスの向上のお手本として研究していきたいと言います。
実は、私もコンビニでこんな経験があります。
レジで順番を待っている時のことです。昼時で、3人くらいのお客さんが並んでいました。私はその後ろに並びました。
すると、レジを打っていた店員さんが、フッと顔を並んでいる人たちに向けて、
「お待たせしていま~す。今しばらくお待ちください!」
「え!?」
私は、コンビニで、こんな声を掛けられたことがありませんでした。初めての体験。でも、よくよく考えると、大したことではありません。待たせている人に「言うか」「言わない」という、ただそれだけのことです。
でも、その「たった一言」で、「また、このコンビニに来よう」と思いました。
メガネをかけた笑顔の男性の店員さんに、共通するものを感じます。
そんな小さなことの積み重ねが、お店の売上に繋がるという好例でしょう。
タバコ一つで、ファンにする。
いや、接客のプロがお手本にするなんて、まさしく、カリスマ店員!
「働くこと」の真髄を見た気がしました。