「いい話のノート」より・・・パート3
以前、本紙「心にビタミンいい話」で特集しました(株)ユタカファーマシーさんは、大阪・京都・滋賀・愛知などに155店舗のドラッグストアを展開しています。遠くのお宅まで配達したり、お子さんの手を引いて一緒に買い物をしてあげたり、車までお米や水など重い物を運んで差し上げるのが当たり前のハートフルなお店です。そんなドラッグユタカさんの社員やアルバイトさんたちが休憩時間に綴った「ちょっといい話ノート」から紹介させていただきます。今回は、その第3弾です。
(その1)西招提店(大阪府) Aさん
五年前に父親が脳梗塞で倒れました。その後、実家では母が介護しています。ところが、その母も歳を取り、最近は、デイサービスを利用しています。
自分は仕事があり、1年に1、2度しか実家に帰ることができません。この前、帰省した時の話です。
家にいると、近所の人たちが入れ替わりに次々とやって来て驚きました。ある人は、
「近所で魚をもらったから食べな」
と言い、またある人は、
「畑で採れた野菜があるから食べて」
と。そして、父親と雑談をしていきます。別の日には、
「弁当を作ったから食べな」
と差し入れてくれた人もいます。不思議に思って、近所に住む90代のお婆ちゃんに尋ねました。すると・・・。
「あんたのお父さんは、自分があまり歩けないのを見て、毎日、市のやっている温泉に送り迎えしてくれたんやぞ。あの時の温泉で今まで少しだけ歩けるようになったんや。そやから、今では逆に面倒みてやらなあかんのや」
と言うのです。また他の人は、
「うちのお爺さんが倒れた時に、一番に来て、病院に連れて行ってくれたんや」
とも。その時、私はハッと気づきました。私の知らないところで、父親が大勢の人たちに親切にして、それが今、還ってきているのだということを。寝たきりにまっている父親ですが、改めて尊敬しました。私も少しでも見習えたらと思います。
まさしく、「情けは人のためならず」ですね。こういうとってもたぶん昔は普通だったのかもしれません。良き日本の姿を取り戻したいものです。
(その2)大垣南店(岐阜県) Kさん
アルバイトの面接をした時の話です。
「なぜ、うちの店で働こうと思ったのですか?」
と、女性の応募者に尋ねました。すると、こんな志望動機を話してくれました。
彼女は以前、ドラッグユタカの店をお客さんとして利用していたそうです。いつも子供と一緒に買い物に行くと、子供が「子供スタンプカード」を集めて、景品をもらうのを楽しみにしていました。
ある時、ポイントが貯まったので、景品に交換しようとすると、欲しいと思っていたオモチャのヘリコプターが品切れでなくなっていました。
いかにも残念そうでしたが、その日は他の景品をもらって帰りました。
次に買い物に出掛けた時、レジのところでスタッフの人から声を掛けられました。息子の方に向かって。
「僕が欲しがってたヘリコプター入れといたからね」
一日に、何百人もお客様と対応するはずです。それなのに、こんな些細なことを覚えていてくれて、大感激。
だから、そんな温かな心のスタッフのいるお店で働きたい。
それが志望動機だと言うのです。
自分のことではないけれど、お店を褒められて嬉しくなりました。
見ている人は、見ているんですよね。それがまさか、リクルートにも繋がろうとは。きっと、その女性は、またまた素晴らしい接客をされるのでしょう。
(その3)宇治田原店(京都府) Mさん
先日、コンビニへ買い物に出掛けた時の話です。
レジに並んで順番を待っていたのですが、なかなか進まなくて、ちょっとイライラしてきました。やがて自分の番になって、その理由がわかりました。かなり年配のスタッフさんで、胸のところに「研修中」の名札が付いていました。
それなら仕方ないか・・・と思いつつ、会計を済ませました。
私が立ち去ろうとしたその時でした。
「ありがとうございます」
と、そのスタッフに笑顔で丁寧に言われました。それがまた、なんというか、実に心のこもった温かな感じなのです。それまで、長い列に並び、レジの操作も手間取っていて、時間がかかったことでのイライラがいっぺんに吹き飛びました。
ローコストオペレーション、生産性、数字を追求していく中で、大切なものを再確認させていただきました。
いやあ~同じ接客業の仕事に就いているからこそ、わかるんですね。「速い」に越したことはないけれど、それを上回るものもあるという実例でしょう。