「いい話のノート」より・・・パート4
以前、本紙「心にビタミンいい話」で特集しました(株)ユタカファーマシーさんは、大阪・京都・滋賀・愛知などに166店舗のドラッグストアを展開しています。遠くのお宅まで配達したり、お子さんの手を引いて一緒に買い物をしてあげたり、車までお米や水など重い物を運んで差し上げるのが当たり前のハートフルなお店です。そんなドラッグユタカさんの社員やアルバイトさんたちが休憩時間に綴った「ちょっといい話ノート」から紹介させていただきます。今回は、その第4弾です。
ドラッグユタカ本社 Mさん
年始、旅行帰りに駅からタクシーを利用した時の事です。
気が進みませんでしたが、車を何日も駅の駐車場に停めていくわけにもいかずタクシーをターミナルで呼び止めました。実は以前タクシーを利用した時、不親切でぶっきらぼうな接遇を受け「もう二度とタクシーなんて利用するものか!」と思っていた矢先でした。
そんなイメージを頭に植え付けたままでしたが、タクシーの運転手さんは降りてきて一言。
「おかえりなさい!寒かったでしょう」
私はびっくりしてしまい、とりあえず会釈…。乗車した後も運転手さんはミラー越しにニコニコ愛想良く、
「どこに旅行行かれたんですか?」
「旅行先は雪大丈夫でしたか?こっちは降ったりやんだりで…」
等、人懐っこく話し掛けてきます。その気さくさにすっかり私の表情まで綻んできてしまいました。
「(その日は土曜だったので)明日までお休みですから旅行疲れも癒してゆっくりできますね」
その言葉に私は、
「接客業なので、明日から仕事なんです…」
と苦笑。それに対し、
「それは大変ですね~頑張って下さいよ、お仕事!」
と運転手さん。話を聞けば運転手さんは職業柄もあり年末年始は連勤、明後日に2連休を貰えるとのこと。家に居ると年末掃除をやらされるからこっちの方が楽だよと笑っていました。
「でも、年末なんて駆け込み時でしょう?大変じゃないですか、お仕事」
思わず私は口にしてしまいましたが運転手さんはいやいや、と首を振り、
「雪だったからね、とっても暇でしたよ!おかげでのんびりさせてもらったから連勤続きでも元気でいられるんですって」
忘年会・新年会・帰省などでタクシー会社は大忙しの筈なのに、疲れたの一言も口にせずその上、客に激励までしてくれる運転手さんなんて…。私は心がじんわり温かくなりました。家に着くまでの約10分、道案内を忘れてしまうほど会話が弾みました。
自宅前で荷物を降ろしてもらい、私の口からは自然に感謝の言葉が出てきました。
「お話楽しかったです、ありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして。そうやって言って頂けると嬉しいですね。今後共、○○タクシーを宜しくお願いいたします!」
そう言い、運転手さんは去っていきました。
連休明けで、明日から仕事と思うと足取りがついつい重くなってしまうと思っていた私でしたが、驚くほど気分は晴れやかでした。
運転手さんとのたった10分ほどの会話がここまで心を温かくし感動させてくれるなんて…。接客の仕方ひとつ次第でお客様の気分は大きく変わります。あの運転手さんのように相手を惹きつけるような仕事ができる人間になりたいと、同じ接客業に携わる身として強く感じました。
これも「出逢い」なんですよね。「いい人」と「いい人」って、お互いに引き合って出逢ってしまう。Mさんが「おもてなしの心」が優れているから、理解し合えるんですよね。私もこのドライバーさんに逢いたくなりました。