建設業で本当にあった心温まる物語②・・・今どきのワカモノの話

 建設業は3K(きつい、汚い、危険)と言われる不人気業種です。その上、容易に一人前になれる仕事ではありません。でも、そこで働く人々がいます。3Kと承知で「建設で働きたい」と言う若者もいます。そこには、他業種以上に「なぜ望んで、その仕事に就いたのか?」「辛い時、苦しい時、どうやって乗り越えて来たのか?」とドラマが潜んでいます。

 建設コンサルタントの降籏達生さんは、建設業に携わる人たちの「心温まるいい話」を長年にわたって募ってきました。その中から、今日は紹介させていただきます。

頼もしい若手社員に恵まれたことを誇りに思う

     株式会社佐藤建業   佐藤 一尚(青森県)

 当社にとっては久しぶりに採用した若手作業員Aくんの話です。元は違う業種で働いていましたが、たまたまご縁があり、当社に面接しに来ました。

 面接時のAくんの第一印象は「今どきのワカモノ」でした。今の世代によくいる若者だなと思いました。ただ、いろいろ質問すると体を動かすことが好きだということがわかり、採用することにしました。

 「建設の仕事に合っていそうだ」と思って採用したのですが、一方では「いつまで続くかな?」という不安も正直ありました。現場に従事しながら少しずつ仕事に慣れてきたようですが、Aくんの性格や本性が分かりながらもまだ不安な気持ちがありました。

 そんなある日、当社のオーナーから「うちの若い作業員がわざわざダンプから降りてきて、足腰の悪いおばあさんの手を引いて、道を渡る手伝いをしたって近所の人から言われた」と知らされました。誰のことか分からず話をよく聞いてみると、その作業員はAくんだったのです。「今どきのワカモノ」の見た目や第一印象とは異なるAくんの行動に驚きました。そして、人に対する思いやりの気持ちを持っていることを知り、Aくんをとても頼もしく感じたと同時に、そんな社員に恵まれたことに改めて誇りに思いました。

 工事を完成させることはもちろん重要なことですが、地域を大事に思う気持ちや貢献することが大切だということを、改めて「今どきのワカモノ」に教えられた出来事でした。