サービスエリアの「おもてなし」(3)

 ネクスコ中日本に届いたお客様からのサンキューレターを紹介します。

 いずれも、高速道路のサービスエリアでの出来事です。

「花火は見えますか?」

 大阪から、伊勢・鳥羽へ家族旅行をしたときの出来事です。途中、高速道路の安濃サービスエリアで休憩しました。案内所の横にあった、手作りの「花火大会のお知らせ」の看板がステキだったのでふと視線を向け、「パパ、今日、鳥羽で花火をやってるらしいわよ」と話し掛けると、それを聞いていた案内所の二人の女性方が「鳥羽へご旅行ですか?」と声を掛けて下さいました。

 二歳になる子供に、ぜひ花火を見せてやりたいと思い、「○○ホテルに泊まるのですが、そこから花火は見えるでしょうか」と何気なく尋ねました。すると、お二人は地図を広げて調べて下さいましたが、そこから見えるかどうかまでわかりませんでした。
その後、トイレに行き、飲み物を買って「さあ、出発!」となった時、「お客様!」と呼び止められ、振り向くと先ほどの案内所の女性でした。「今、旅館に電話をして聞いてみたのですが、お部屋から見えるかどうかまでわかりませんでした」とのこと。わざわざ、旅館まで電話をしていただけるなんて・・・。花火は見えませんでしたが、それ以上に素晴らしい笑顔とおもてなしに出会うことができ、素晴らしい旅行の思い出になりました。私は、実は専門学校で、観光学科の講師をしています。学生たちに、この話をしたいと思います。

志賀内泰弘

旅行って、景色や食べ物だけでなく、目には「見えない」けれど心に沁みる出会い、
触れ合いが「思い出」になるのですよね。将来、観光業に携わる学生には、打ってつ
けのエピソードと思います。

「サービスエリアのトイレにて」

 新潟に向かう高速バスの車内で、ジュースをこぼしてしまいました。ジャケットがベタベタです。途中の呉羽パーキンクエリアでトイレに入り、洗面所で洗おうとした時のことでした。そばにいた清掃のスタッフの方が、それに気付き、洗剤を持って来て私のジャケットを洗って下さいました。その上、濡れている部分をバスタオルで拭いてくださったのです。ご自分の仕事の手を止めてまでして、なかなかできることではありません。お名前だけ伺いました。「Iさん、ありがとうございます」

志賀内泰弘

仕事が楽しい人。仕事の愚痴を言わない人。仕事が生きがいの人って、こういう人ですよね。仕事を単なる「お金儲けの手段」と考えるのではなく、目の前の人の役に立ちたい、みんなを幸せにしたい、と思う人です。清掃の仕事を途中で休んでまでして、洗ってくれるなんて、きっとこのスタッフさんは、家族からも友達からも愛されているんだろうなあ~。

「グッドタイミング」

静岡にいる孫に会いに行くため、高速に乗りました。途中のサービスエリアでお昼にそばを食べた時のことです。妻はテーブルに着くなり、飲み忘れないように薬を目の前に置きました。注文を取りに来られたスタッフさんが、その薬を見て「お水を持って来ましょうか」と聞いて下さいました。「食後の薬なので、後でいいです」と答えると、お茶を置いて行かれました。

 さて、その食事が終わると、先ほどのスタッフさんがやって来て、サッとお水を目の前に差し出されました。なんというグッドタイミング!間違いなく、私たちの食事の様子を見ていて下さり、タイミングを計って下さったのです。「これこそが、サービス業に一番大切なおもてなし」だと感激しました。名札には、FMさんとありましたるありがとうございます。

志賀内泰弘

私も薬が手放せません。でも、お水を持って来て下さるお店は、ほんの一握りです。それどころか、このレストランでは、タイミングまでいいとのこと。サービスエリアっていうのは、常連とかお馴染みさんになりにくいはず。いわば「一見」「フリ」の客です。にもかかわらず、一人ひとりに気遣いをするなんでスゴイです。