「こころ便り」から⑫「三種の仕事」
木南一志
春がやってきました。今年は雪も少なく、厳しさを感じることはあまりありませんでした。それだけに地球温暖化を感じている人も多いことでしょう。逆に、経済社会では厳しさがますます募ってきています。絵空事のように感じていた人にも、不況感が及ぶようになってきました。つい、合言葉のように「暇ですね・・・」と出てしまいます。
先日、鍵山相談役から仕事には三種あると教えられたとハガキが届きました。
その内容は、①役目が決まっている“わたしの仕事”
②同じく“あなたの仕事”
③誰の仕事でもない仕事
この③の誰の仕事でもない仕事を放置しておくと、職場が浸蝕されて崩壊に向かいます。
③を社員全員が①わたしの仕事ととらえて取組む職場は、モチベーションが高くなると教えられました。
とのことでした。
誰の仕事であるか、誰の責任なのかを徹底的に追及していく風潮があります。テレビや新聞、週刊誌などのマスコミに象徴される吊るし上げで世の中は決して良くなりません。逆に責任逃れの人を増やし、誤魔化しの言い訳を並べ立てることにつながるのです。
何の保証もない、誰の仕事でもない仕事に懸命に取組むこと、実行することはとても大切なことです。
兵庫県で行なわれている中学二年生の“トライやるウィーク”(一週間の職場体験)の体験発表で新宮中学校のHさんは、消防署へ行ったことを話してくれました。そこで見た消防士さんの懸命に体を鍛えたりする姿や緊急の出動を目の当たりにして、「命の大切さ」を知り、自分も将来は医療関係の仕事で人の命を助けたい。そのために今、しっかり勉強していくと夢を語ってくれました。また、耳の聞こえない生徒が希望した職場では、どうすれば休まずに来てくれるかを職場で話し合ったと聴きました。
大人がしっかりと生きてさえいれば、子供達は自然にそんな大人に憧れ、夢を持ち、努力するのだと感じました。自分はどうだろうか。消防士さんに負けないだけの情熱を持って仕事に取組んでいるだろうか。誰の仕事でもない仕事を自ら進んで買ってでるくらいのことができているだろうか。
お互いが気持ちよく生きていくためには、自分の責任範囲だけを守っていてもダメです。子供達から憧れの眼で見てもらえるよう、懸命に、一所懸命に生きようではありませんか。
厳しい時代だからこそ、ぼやく前にやるべきことを実行していきましょう。必ず、明日は来るのです。