人生ドラマは生まれる前から始まっている

みやざき中央新聞・魂の編集長の「ちょっといい話」第四回
                                                  
 『人生ドラマは生まれる前から始まっている』
                          水谷もりひと

どんな人にも生年月日があります。この世に生まれてきたその日が、その人の人生ド
ラマの始まりです。
去る十一月十一日、我が家の次女が第一子を出産しました。「結香(ゆいか)」と命
名されたその子の人生ドラマがついに幕を開けました。
 
しかし、考えてみると、この子が生まれた背景には娘とその彼氏との恋愛ドラマがあ
りました。
そもそも娘が彼と如何に出会ったかというと、そこにもドラマがありました。
 
実は、次女には学生時代から付き合っていた別の彼氏がいました。二人はそれぞれの
親を呼んで食事会を兼ねた婚約式をし、同棲生活を始めました。
そして、結婚式の日取りを決め、式場を予約し、打ち合わせもし、婚礼衣装で前撮り
も済ませました。後は結婚式の招待状の発送のみとなりました。
その段階で彼氏が二股をかけていたことが発覚。破局と相成りました。
次女はみんなから祝福されました。「入籍する前に発覚してよかったね。そんな人と
結婚しなくてよかったね」と。
 
娘はうちの奥さんと一つの約束をしました。
「彼の悪口を絶対言わないこと」
恨みや憎しみの感情を持って別れると、次の出会いがよくないそうです。
いい別れ方をすると、いい出会いが次に待っているそうです。

そして、かなり端折りますが、2年後に今の旦那さんと出会い結婚し、今回の生命誕
生につながったというわけです。

 
もう一つのドラマを紹介します。実は、結花誕生の二日後、小さないのちが生まれま
した。名を「桃子ちゃん」といいます。
 
友だちの上杉省栄さんのところの第三子です。上杉さんは、今は自分のお店を持って
いますが、長年パンプキン薬局で働いていたので、みんなから「パンちゃん」という
愛称で呼ばれています。
ある日、パンちゃんとおしゃべりしていたら、奥さんの出産の話になりました。そし
てこんな話をしてくれました。
奥さんはもうすぐ臨月を迎えること。胎児に「18トリソミー」という、染色体異常の
病気が見つかったこと。この病気は重い障がいをもって生まれてくること。さらに、
心臓の心室に穴が開いていることも分かりました。
 
そのため、出産そのものが困難で、産婦人科の先生から「自信がありません」と言わ
れたとのことでした。
また、染色体異常の子どもは、生まれて数時間から数か月という短命のケースが多い
ため、出産後に心臓手術などの治療をすることにも病院側は消極的でした。

パンちゃん夫婦は「たとえ短命であったとしても、この世に誕生させて抱きしめてあ
げたい。できる限りの治療をしてあげたい」と、自分たちの想いを受け止めてくれる
病院を探すことにしました。
そして、「どんな子どもでも受け入れます」と温かい言葉をくれた県立広島病院に行
くことを決めました。   
 
2人は同じ病気の子を持つ親の会と連絡を取り、お話を聞いたりして情報を集めまし
た。一方、桃ちゃんはお母さんの胎内で順調に成長していきました。 
予定日は12月3日でしたが、2人は3週間前の11月12日に広島入りしました。
 
ところが、翌日の早朝、奥さんが、桃ちゃんの様子がおかしいことに気付き、急いで
病院へ向かいました。
検査をすると、「赤ちゃんが弱っている。すぐ帝王切開で出してあげたほうがいい」
ということになりました。 
そして11月13日午前9時56分、桃ちゃんは1617㌘で生まれてきました。
 
「生まれてから分かったのですが、実は心不全の一歩手前の状態で、よっぽど苦し
かったのか、明け方におばあちゃんの枕元にまで現れて訴えていたようです」とパン
ちゃん。
 
パンちゃんは、「桃ちゃんサポーター」の僕たちのためにフェイスブックで桃ちゃん
の様子を配信してくれていました。チューブに繋がれていましたが、目を閉じて自分
の指をおしゃぶりしている桃ちゃんはとても可愛いかったです。
 
桃ちゃんの人生ドラマは、パンちゃん夫婦のドラマと切り離すことはできません。
人生ドラマって生命誕生のずっと前から始まっていたんですね。

     (みやざき中央新聞 魂の編集長/水谷もりひと)

プロフィール
みやざき中央新聞 魂の編集長
学生時代に東京都内の大学生と『国際文化新聞』を創刊し、初代編集長となる。
平成元年にUターン。宮崎中央新聞社に入社し、平成4年に経営者から譲り受け、編集長となる。
24年間社説を書き続け、現在も魂の編集長として、心を揺さぶる社説を発信中。

◇これまでの活動
平成11年 MRTラジオ暮らしのレーダーで、「男性学講座」を担当
平成12年・13年 MRTラジオで「みやざきトゥデイ」を担当
平成13年・14年 サンシャインFMで「時代を語る」を担当
平成16年 宮崎県男女共同参画推進功労賞受賞
平成19年~20年 宮崎市男女共同参画審議会委員
平成18年~23年 宮崎家庭裁判所参与員
平成25年 社長と共にコンゴ民主共和国に渡り、現地視察と読者会開催
平成26年 宮崎県日向市ドリームプランプレゼンテーション出場 感動大賞・共感大賞 W受賞

◇現在の活動分野
働く人の心のケアをする厚労省認定産業カウンセラー

◇趣味
育児、家事手伝い
平成21年 宮崎に開校した俳優養成所に入所し、いろいろなCMに出演

◇著書
『空から宮崎を見れば』(宮崎中央新聞社)
『みやざき発夢未来』(鉱脈社)
『男と女の夢未来』(鉱脈社)
『日本一心を揺るがす新聞の社説』(ごま書房新社)
『日本一心を揺るがす新聞の社説2』(ごま書房新社)
『日本一心を揺るがす新聞の社説ベストセレクション(講演DVD付)』(ごま書房新社)
『この本読んで元気にならん人はおらんやろ』(ごま書房新社)