結びとして
結びとして
こんなことがありました。
応接の椅子を探しに大手の家具屋さんへ出掛けたときのことです。
建物に入って、ものの3分もしないうちに、急に目がチクチクしてきたのです。何度も瞬きをしましたが治りません。我慢していると、今度は息苦しくなってきました。
慌てて建物の外へ飛び出して深呼吸。おかげさまで、すぐに症状は治まりました。
原因は明らかに推測できました。家具の合板や塗料に使われている化学物質のせいだと思われます。新築の家ではシンナーのような匂いがして気分が悪くなることがあります。それと同じことでしょう。でも、家具屋さんでなったのは初めてでした。
一つ疑問が湧きました。この家具屋さんで働く人たちは何ともないのだろうかと。身体が丈夫なのかなぁ。他のお客さんはどうなのだろう。別に顔色の悪そうな人は見受けられませんでした。たまたまその日は体調が悪かったからなのか。それとも歳のせいで、抵抗力が衰えたか。「自分だけが・・・」と、ちょっと落ち込んで帰宅しました。
さて、ある日のこと。お医者さんから、こんな話を聞きました。下痢の話です。下痢をするというのは、けっして悪いことではない。たまたま自分の身体に良くない細菌が入り込んだため、それを追い出そうとして下痢をするようにできているというのです。自然治癒力ですね。だから、無理に薬で下痢を止めることが良いとは限らない。風邪をひいて熱を出すのも同じこと。身体が自分で治そうとして熱を発するのだそうです。
合点がいきました。先日の家具屋さんの話です。店内に充満していた化学物質が身体にとって良くないものだった。それに反応したことこそ、正常だったのではないか。反応しないことの方が恐ろしいじゃないかと。
さらにこんなことも考えました。アトピーやハウスシックで悩む人たちが大勢います。これは、単に抵抗力が弱いからでなく、人間として当り前の反応をしているまでのことではないかと。もちろん、医学的な根拠はありませんが、自分の身体に合わないものに敏感に反応するというのは、自然の摂理だと思えるのです。
人間は「便利」や「安さ」と引き換えに多くの物を失いました。でも、ようやくそのことに気づき始めました。これからの時代は、人間も自然の一部・一員であることを認識して、考え直す必要があるのでしょう。子供たちの未来のために。