「夢と勇気」

渡辺経営コンサルタント事務所 季刊誌「かけはし」vol.107号(令和3年4月号)

「元気を出せ。人生に必要なものはイマジネーション(創造力)とカレッジ(勇気)とサムマネー(若干のお金)だ」とは、チャールズ・チャップリンの不朽の名作「ライムライト」の有名なセリフで、主人公であるチャップリンが、自信をなくして失意のどん底にあった踊り子を諭した言葉です。

夢とは希望であり、目標である。常にしっかりとした目標を持ち、それに向かって邁進しなさい。そして、その目標を達成するには、強い勇気がなければならない」と彼は力づけます。

これと同じようなセリフが、今から三十年以上前に観た映画「フラッシュダンス」に出てきます。昼は溶接工、夜は大衆酒場のダンサーとして働いている若い女性が主人公の映画です。

その若い女性は将来、プロのダンサーになりたいと思っていますが、バレーの学校にも入っていないし経験もない。すべては自己流の踊りです。そんな主人公は、オーディションを受ける勇気が持てず、迷った日々を送ります。

この主人公を可愛がる老女は「夢を捨てることは死ぬことだ!」「自分の人生を信じなさい!」と言って励まします。老女の励ましにより、とうとう主人公はオーディションを受けることになりますが、この映画のラストシーンは圧巻で、とても感動したことを思い出します。

この二つの映画に共通していることは「夢と勇気」です。バブル崩壊以降、自信を失いかけている日本人、東日本大震災はじめ、さまざまな自然災害で被災され、意気消沈しておられる方々に、一度は観ていただきたい映画です。

若い頃は「将来はこんなことをしたい、こんな仕事をしてみたい、こんな人生を歩んでみたい」という夢や希望を持ち、仲間と語り合ったりするものですが、年を重ねていくと、その夢や希望が薄らいでいき、言い訳をして今の現状に甘んじてしまいがちです。しかし、年を重ねても、若い頃の情熱が衰えず、夢を持って日々を活き活きと生きている方もおられます。

大試練の時代であっても、将来への夢を持ち、勇気を持って前向きに生き抜いていく姿勢が、人生を輝かせるのではないかと思います。東日本大震災から十年が経ちました。私も夢と勇気を持って新たな出発(たびだち)をしてまいります。