「人生ノート」

渡辺経営コンサルタント事務所 季刊誌「かけはし」vol.116号(令和5年7月号)

今年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、日本チーム(侍ジャパン)を世界一に導いた栗山英樹監督の采配やチーム運営について注目が集まっています。十四年ぶりに世界一の王座を奪還したことで、組織づくりの要諦や人としての生き方などをどのようにして身につけたのかなどに関心を寄せる人が増えてきているのです。

栗山英樹氏は、長年にわたって「栗山ノート」といわれる野球ノートを書き続けています。

小学校当時は、そのノートにその日の練習メニューを書き出したり、うまくできたプレー、ミスしてしまったプレーを書き出し、その日の練習を整理する意味合いを持たせていたようです。

さらに、中学、高校、大学、そしてヤクルトスワローズに入団してからも、今までずっとチームの勝利に貢献するためにどうするか、一つ一つのプレーに磨きをかけるにはどうするかを追求してきました。

そして、2012年に北海道日本ハムファイターズの監督に就任してからは、強いチームにするためにはどうするか、選手の能力を引き出すためにはどうするかなど、毎日ノートに書き綴ってきました。栗山氏は、この野球ノートのことをこのように記しています。

「私の野球ノートは『四書五経』などの古典や、経営者の著書から抜き出した言葉で埋め尽くされています。その日に起こった出来事をどのように受け止めるのかを考えると、古今東西の先人や偉人が残した言葉が浮かび上がってくるのです。もはや、野球ノートというよりも、人生ノートと言ったほうがいいかもしれません。(「栗山ノート」はじめに より)

私もWMCを創業して以来、人の話を聴いたり、本や新聞を読んだり、テレビを見たりして、心に残ったものを備忘録(サブノート)に記録するようにしています。時々、それらを読み直してみると、参考になるメッセージが多く綴られています。私にとっての備忘録は、三十代から今までの学びを整理した学びの歴史ノートといえるかもしれません。

私はこれからも、向上心を持って積極的に学びの場や志の高い方々が集う場に参加したり、良書に触れることで自分を成長させていきたいと思います。