教えられた孫の一言 (2006/9/29)

 「ほろほろ通信」を担当して半年がたった。たくさんのお便りをいただくが、全部を紹介できないのが残念で仕方ない。ただ、どのお話にも「気付き」があり、多くのことを学ばせていただいている。

 北名古屋市にお住まいの瀬戸口国利さん(68)から、お孫さんについての話が届いた。今年のお盆休みのこと。息子さん夫婦が二歳五カ月になる女のお孫さんを連れて帰ってきた。よく「孫は目に入れても痛くない」という。瀬戸口さんもその姿を見ているだけで、思わずほほ笑んでしまう。

 お孫さんが「ちち、おなかが痛い、トイレに行く」と言い出した。息子さんが、慌ててアンパンマンのおまるを便器の上にセットして座らせた。すると、こう言って瀬戸口さんを驚かせたという。「ちち、出て行って、戸を閉めて」と。しばらくして息子さんがそっとのぞくと「もうちょっとで出そう。がんばる。戸を閉めて」と言われてしまった。

 瀬戸口さんは、社会福祉協議会の評議員をしておられる。あちこちの福祉施設を訪ね、体の不自由な方たちを間近に見ている。いつも思うのは、それぞれの人の立場になって接しなければならないということだ。

 今回、お孫さんに教えられた。こんな幼い子どもでも、排便するのを人に見られるのは恥ずかしいと思うものなのだ。それも相手は父親なのに。まして、施設で大人の人におむつをするときは、尊厳を損なわない気遣いが必要になる。高齢者や障害者のお世話をさせていただく際の心構えを、幼いお孫さんから学んだという。

 自分もいつ世話を受ける身になるかもしれない。それまではできるかぎりボランティアをして困っている方を支えたいと結んでいた。