お迎え登校 (2007/8/19)
小学校に上がるのは子どもにとっても、親にとっても不安なものだ。安城市にお住まいの片桐さおりさん(35)の息子さんが、この春、入学するときも例外ではなかった。ところが、その不安をあることが打ち消してくれたという。
息子さんの通うことになった安城市安城東部小学校では、新一年生を上級生が家まで迎えに来てくれることになっている。担当になったのは、近くに住む小学六年生の男の子だった。毎朝、片桐さんに「おはようございます」と元気よくあいさつをしてから、息子さんの方を向いて「おはよう」と声をかける。
「大丈夫?」と、道具箱や算数セットの入った手提げかばんを持ってくれることもある。まだ歩くのが遅い息子さんに付き合うため、少し早めに迎えに来てくれる。十五分ほどの道のりを二人で石をけったり、畑をのぞいて道草をするのも楽しい様子。おかげでスムーズに学校になじむことができた。
その子のお母さんにお目にかかる機会があり、日ごろのお礼を言った。すると「たぶん、自分も一年生のときに迎えに来てもらったので、それがうれしかったみたいですよ」と。これは一人で行けるようになるまで続けられる。
学校に慣れれば、一週間でやめる場合もある。もちろん片桐さんの息子さんも、とうに慣れている。でも、続いているのは、仲良しのお兄ちゃんができたような気がしているからにほかならない。
下校途中で転んだときには、上級生の女の子がガーゼ付きばんそうこうで手当てしてくれたこともある。傘を忘れた雨降りの日には、一緒に入れて送ってくれる子もいる。これを伝統というのか校風というのか。片桐さんは、やがて息子さんが上級生になったとき、下級生に伝えていってほしいと願っている。