1年3組の魔法 (2007/10/28)
高浜市の山本美代子さん(37)からの便り。お嬢さんの紗矢香ちゃん(7つ)は、この春、地元の高取小学校に入学した。ダウン症という障害があるが、普通学級で学んでいる。担任の先生は、ただ甘やかしたり特別扱いするというのではなく「紗矢香ちゃんを応援しようね」とクラスのみんなに声をかけてくれた。そのおかげで学校が大好きになった。
運動会を控えて、紗矢香ちゃんは何度も駆けっこの練習してきたがうまく走れない。先生に手をつないでもらって後から一人で走った。家でも何度も練習をした。
さて運動会の当日。駆けっこの入場行進が始まっても、紗矢香ちゃんは一人だけ動かない。音楽が入場の合図だということが理解できないのだ。先生が手を取り、連れて行ってくれた。山本さんは不安になったが「どんな結果でも受け止めよう」と心に決めたという。
「よーいドン」。紗矢香ちゃんはみんなと一緒にスタートした。一生懸命に走った。ずいぶん遅れはしたが、ちゃんとゴールできた。席に戻ってくると、友だちが「今日が一番早かったね」と褒めてくれた。リレーの選手にもなっている足の速い友だちも「今日は紗矢香ちゃんが一番だったよ」と言ってくれた。
閉会式の入場行進のとき、またまた動けなくなってしまった。その時、隣のクラスの男の子が紗矢香ちゃんの背中を押して助けてくれた。おかげで整列することができた。
「見えない所で見えない力が働いている気がします。一年三組の魔法かな」。学校の友だちからたくさんのすてきな宝物をもらって、山本さんは涙があふれしまったという。おかげで紗矢香ちゃんは「やる気」が芽生えて楽しく学校生活を送っている。