栗きんとんの作り方は (2008/11/30)
名古屋市熱田区の大矢美智子さん(62)のところに、日進市に住む娘さんから電話がかかってきた。「お母さん、栗(くり)きんとんの作り方を教えて」。男の子のお孫さんが、学校の帰り道に栗を拾って来たのだという。
娘さん家族が、お婿さんの転勤で横浜市から引っ越して来たのは六年ほど前のこと。小学校がすぐ近くにあったので、当時四歳だったお孫さんが、将来通学に便利だということから住まいを決めた。ところが後に、目の前の道路を境にして学区が異なることが判明。二キロ以上も離れた小学校に通うはめになってしまった。
最初はずいぶん心配していた。道草をしながらだが、通学に一時間以上もかかった。でも、間もなく思わぬ効果に気づいたという。周りは田んぼや畑があり、小川が流れている。自然がいっぱいだ。そこで遊びながら帰ってくる。けがをしたこともあるが、以前よりずっと体が丈夫になったのだ。
そこへ「栗きんとんの作り方は」という電話である。お孫さんが友だちと一緒に、自生している栗を毎日拾ってきた。売っているものに比べれば小ぶりだが、十分食べられる。大矢さんはその昔、娘さんと一緒に栗きんとんを作ったことがある。娘さんはそれを思い出し、自分も子どもに作ってあげようと思ったのだ。
小学校四年になった当のお孫さんも「学校は遠い方がいいよ」と言っているそうだ。