『おはよう』がきっかけで (2010/9/5)
今回も、七月十八日付「ほろほろ通信」で募集した「あいさつ」の体験談から。小牧市の鈴木節子さん(62)の地区では、毎年四月二十一日に弘法様の行事が行われる。赤いよだれ掛けをした石の弘法様がいらっしゃる小さなほこらに、お水やご飯、お菓子、小銭を供えてお参りする。参拝の方には当番の組の役員が、紅白の丸もちを振る舞う。その晩には、組の人たちが集まって食事会をするのが習わしだ。
十三年前の話。鈴木さんは、その食事会で真向かいに座った近所に住む女性から話し掛けられた。「今朝、さっちゃんに『おはようございます』って声を掛けてもらったよ。うれしかった」と。さっちゃんとは、当時二十二歳だった鈴木さんの娘のことだ。続けて「いい子だね。そろそろ年ごろだね」と言われ、つい「よいご縁があったらお願いします」と口にしてしまった。
すると、すかさず「あるよ」という返事。しばらくして、喫茶店でその人の友達の息子さんとお見合いをした。その後、とんとん拍子に縁談がすすみ、翌年の春に結婚することになった。そして今では子どもにも恵まれ、幸せに暮らしている。
鈴木さんは、娘さんから今も言われるという。「お母さん、あいさつが縁で幸せになれてありがたかったね。一言のあいさつで人生が決まっていくなんて、言葉って大切だね」と。鈴木さんは「『おはようございます』という言葉に感謝しています。もちろん、弘法様にも」と言う。