雨の中、飼い主捜して (2011/10/23)

 6月10日の午後7時半ごろ。半田市の内藤やよさん(63)の家の呼び鈴を隣家の人が鳴らした。女子高生が雨の中、迷い犬の飼い主を捜して歩き回っているという。外へ出ると、犬を連れた二人の制服の女子高生がいた。聞けば、自転車で学校から帰る途中、鎖を引きずりながら歩いている犬を発見。保護して近所の家々を回り尋ねているのだという。

 内藤さんにも同じような経験があった。3年前、娘さんが迷い犬を見つけた。きっと飼い主も心配しているはずと思い、あちこち尋ねたがわからない。結局、交番に届けたが、3カ月後に連絡があり「申し出がなかった」とのこと。かわいそうになり、内藤さんの家で飼うことにした。

 さて、女子高生たちは、長い時間傘も差さずに歩いているのでずぶぬれ。心配で帰るに帰れなかったのだろう。「この後は、おばさんが交番に連れて行くから心配しないで」とバトンタッチすることにした。申し訳なさそうに「いいですか。ありがとうございます」と礼を言い帰って行った。

 内藤さんは交番へ行き手続きをした。時間も遅いので家で預かることにした。「今夜はおばさんの家に泊まるんだよ」などと話しかけての帰り道。一瞬、犬が立ち止まり、しっぽを振った。前から歩いてくる男性の姿を見てのことだった。なんとその人が飼い主で、鎖が抜けてどこかへ行ってしまった犬を捜していたという。あの女子高生に「無事に飼い主が見つかりましたよ」と伝えたいが名前を聞き忘れた。「やさしい心がないとできないことですね」と内藤さんはおっしゃった。