メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第34回(その13)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」~「ギブアンドギブ」を腹の底に落とすためのエピソード(2) 禅語「無財の七施」

メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第34回
(その13)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」
~「ギブアンドギブ」を腹の底に落とすためのエピソード(2)
 禅語「無財の七施」

 ☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。
いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。
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拙著に、自己啓発小説「「いいこと」を引き寄せるギブアンドギブの法則」(PHP研究所)があります。
小説の舞台は愛知県知多半島に浮かぶ小さな島“多賀良島"。
その島に異国のみすぼらしい托鉢僧・タルシルが降り立ったことから物語は始まります。
ひょんなことから、本書の主人公である「多賀良島しあわせホテル」の若女将・風見美咲 がタルシルに弟子入りし、「ギブ&ギブ」という、その一見“奇妙"な教えを実践していきます。
その托鉢僧タルシルが、美咲、そして島の人々に語る話から一部抜粋・要約して、「ギブアンドギブ」という「生き方」について説明させていただきます。

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タルシルは、ハッと思い出したかのように、阿弥陀如来を見つめつつ語り始めた。
「拙者が、中東の各地を旅していた時のことでゴザル・・・。
ある国でカバンを盗まれてしまったでゴザル。
その中には、パスポートも財布も入っており困り果てました。
僻地で大使館まで行くバス賃さえもないのデス。
昼間は灼熱、夜になると凍えるほど気温が下がります。
野宿は、死に至る恐れもある。
ふと見ると、あばら家の前にホームレスが座り込んで物乞いをしていマシタ。
その若者は右の手足がありませんでした。
おそらく、戦争で無くしたのでしょう。
肺炎にでも罹っているのか、胸を押さえて咳をしている。
『ああ、私も、あのようにここでホームレスになるのか』と思ったその時デシタ。
目の前に一台の車が停まったのデス。
ロールスロイスでした。
後部座席から、いかにもお金持ちも思われる50代の男性が出て来て、ホームレスに声を掛け、車に運び込んだのデス。
キョトンとしていると、お金持ちは拙者にも声を掛けてくれマシタ。
事情を話すと、『大使館まで送ろう』と言い、拙者も車に乗せてくれたのでゴザル」

美咲は話に引き込まれ、誰もが知らぬ間にアラブの砂漠の町にいるような思いになっていた。

「途中、大金持ちは病院に行き、ホームレスに診察を受けさせ、十分なお金を病院の先生に手渡したのデス。
拙者『素晴らしいですね』と褒め称えると、彼は厳しい顔つきで言いました。
『あなたは、ホームレスに何かしてあげたか』と言うのです。
『いえいえ、拙者は財布を取られ、援助したくてもかなわないのだ』と答えマシタ。
すると、それまで穏やかだった男性は、急に『いいや、そんなことはないはずだ!』と不機嫌になったのデス。
拙者は、反発しました。
『あなたはお金持ちだから、そういうことが言えるのだと』と。
すると、『いいですか。ホームレスには片方の手足がないが、あなたにはある。
汗を拭いてやることも、背中を掻いてやることもできる。
彼よりも元気そうに見える。
彼の代わりに大声で、物乞いをしてやることだってできるはずだ』と諭されたのデス。
その時、その大金持ちからアラブに伝わることわざを教えてもらいました。
それは、『もしも、あなたがたくさんもっていたら富を与えなさい。
あまりもっていなかったら、心を与えなさい』というものでした。
拙者は本当に恥ずかしくなり、小さくなってしまったでゴザル」 
 「・・・」
美咲は何も答えることができなかった。
「どんな人にも無償で与えられるものがたくさんあるはずなのでゴザル。
それも、無限大に! 
これは、仏教の教えですが、『無財の七施』というものをご存じでショウカ」
 そう言うとタルシルは、チョークを手に取り、黒板にカタカタと音を立てて書き始めた。

「無財の七施」
一、 眼施 (がんせ)       ・・・やさしい目で人に接すること
二、 和顔悦色施(わげんえつじきせ)・・・柔和な顔と喜びの顔を施すこと  
三、 言辞施 (ごんじきせ)    ・・・おもいやりの言葉をかけること
四、 身施   (しんせ)     ・・・身体を使って人の役に立つこと
五、 心施   (しんせ)     ・・・細やかな心遣いをすること
六、 牀座施(しょうざせ)      ・・・困っている人に席を譲ること
七、 房舎施 (ぼうしゃせ)    ・・・旅人に宿舎を提供すること

手についたチョークの粉を気にも留めず、タルシルは説法を続けた。
「これは、「雑宝藏経」という仏教の経文にある教えデス。
美咲さんが先ほど話された、左利きのお客様の話は実に素晴らしい「心施」のお手本ですね。
いかがでゴザル? ギブアンドギブできるものは、無限大に存在することがおわかりかと候」
「目つきとか笑顔とか、言葉とか・・・一言で言やあ、『思いやり』ってことですね」
「その通りでゴザル。
目の前の人に、できうるかぎりの『思いやり』を尽くすのデス」
美咲は尋ねた。
「「房舎施」ってホテルのことよね。
でも、タダで泊めたりはできないわ」
「まだお金に囚われているでゴザル。
ホテルの語源であるのホスピタルは、『手厚いおもてなし』という意味デス。
その原点に立ち返って、ご自分には何ができるか、どうしたら喜んでいただけるかを考えてはいかがでショウ」
とタルシルが諭すように答えた。
 「そう言えば、東日本大震災の時、松山千春がツイッターで呟いた言葉があったなあって思い出して、今、検索してみたんだ。
『お金のある人はお金を出せばいい 力のある人は力を出せばいい 知恵のある人は知恵を出せばいい 勇気のある人は勇気を出せばいい 何もない人は元気を出せばいい』・・・同じことだよな」

タルシルは、僧侶とは思えぬ、意外な話を続けた。
「神や仏を信じなさい、とは言いマセヌ。
でも、実はこれはマーケティング理論に基づいているのでゴザル。
放てば手に満てり、ギブアンドギブは、マーケティングの世界では『返信性の法則』と言われてるのデス。
人は、人から無償で与えられると、その人に『お返し』したくなるという本性を持っているのデス。
例えば・・・簡単な例を出すと・・・デパートのB1で試食品を食べると、なんだか買わなくちゃ悪い気がしてくるでゴザロウ」
「まさか、お坊さんからマーケティングなんて言葉が出てこようとは・・・」
 「いえいえ、経済理論だけではゴザラン。
万有引力の発見をしたアイザック・ニュートンもこう言っていいるでゴザル。
『すべての行為に対して、それと同等か正反対の反応が起きる』と。
物理学上でも、与えれば必ず返ってくるのデス。
仏教だけでなく、キリスト教でも同じ。
聖書のルカ伝第6章38に、このような一文があります。
『与えよ、さらば与えられん・・・なぜなら、汝の秤で量られるものが汝にもたらされるからだ』と。
ギブアンドギブは、宗教、経済、物理、哲学などあらゆる上で心理を追求した真理なのデス」

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