メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第44回(その18)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」~人は、人に迷惑をかけていきる生き物~

メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第44回
(その18)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」
   ~人は、人に迷惑をかけていきる生き物~
 ☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。
いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。

ご縁の数が増えて行き、ひとり一人との付き合いが深くなっていくと、
「本音」でぶつかりあったり、「おせっかい」が過ぎたりすることが出て来ます。
上辺の付き合いだけをしていたら、そんなことは起きません。
でも、もっともっと、友達のために、仕事の仲間に、尽くしたいと思えば思うほど、人間関係のトラブルは生じるものです。

今日は、そんな「人付き合い」について、つれづれに綴ってみました。

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迷惑かけずに生きて行く 
      志賀内泰弘

昭和の匂いのする刑事ドラマで、悪さをして警察に掴まってしまった息子に面会に来た母親が、
「私はお前を、人様に迷惑をかけるような人間に育てた覚えはないよ」
と言うのは、お決まりのシーンです。
どんなにデキの悪い子供でも、親が子供に、最低限の望むこと。それは、
「人様に迷惑をかけない」
ことでしょう。

さて、
京都をぶらぶら歩いていたら、仏光寺の長い塀の、大きな大きな黒板にこんなことが書かれていました。
「迷惑をかけずに
生きていくことが
大切・・・」
前述の母親の「願い」ではありませんが、「当たり前のこと」に「今さら」と思い通り過ぎようとしました。

ところが、その次の言葉に「ハッ」としました。
「・・・ではない」
とあります。
続けて読むと、
「迷惑をかけずに生きていくことが大切ではない」
さらに、言葉は続きます。
「迷惑をかけずには
 生きられないと
 知ることが
 大切」

 そう言えば、・・・。
人生の壁にぶち当たり、さまざまな宗教の本を読み漁ったことがあります。
その時、仏教思想家の「ひろさちや」さんの本の中に、同様のことが書かれてあったことを思い出しました。

 我々が「迷惑をかける」といって、パッと思い浮かぶのは、喫茶店の中で大声で携帯電話をかけたり、路上でつばを吐いたり、スーパーなどで井戸端会議に夢中の間に、子供が店内を走り回って他の買い物客にぶつかったり・・・などいうことでしょう。
しかし、「ひろさちや」さんの言う「迷惑」とはそういうことではありませんでした。

 例えば、会社の中で頑張って頑張って出世して、ようやく課長になれた。
それは、頑張ったという自分の成果です。
でも、自分が課長になれたということで、その人事異動で誰かが課長になれなかった、ということ。ひょっとすると、誰かが降格されたかもしれません。
自分では「気付かない」けれど、自分と言う存在が、誰かにとってマイナスを与えている・・・かもしれないというのです。

 もっと具体的な例があります。
通勤時に、「今日は疲れているから座りたいなぁ」と思って電車に乗り込む。
「あっ!ラッキー!!」
途中の駅で降りる人がいて、目の前の席が空いた。すかさず座ります。
でも、自分が座ったということで、その席は埋まってしまったのです。
ということは、誰かが座れなくなってしまった。それを日本語の解釈としては「迷惑」とは呼ばないでしょう。でも、その席の周りに立っていた人たちは、
「悔しい」
「俺が座りたかった」
と思っているかもしれません。ひょっとすると、健康そうに見えるけれど、膝を痛めていて、立っているのがやっとという人がいるかもしれません。
課長に昇進した場合は、もっと如実です。
「あいつに先を越された」
「あいつのせいで、降格された」
などと、恨まれているかもしれません。

 あえて言うなら、これを「知らず知らず迷惑」というところでしょうか。

 でも、だからといって、そんなことを気にしていたら、生きていけません。
出世したいし、疲れたら座りたい。
人としては、当たり前のことです。

 そこで、仏光寺の黒板の言葉です。
 「迷惑をかけずには
  生きられないと
  知ることが
  大切」
 
 人が生きるということは、人に知らず知らず「迷惑」をかけてしまっている。
・・・かもしれない。
かといって、どうすることもできない。
でも、そういうことに、「気付く」か否か。
そういうことを「わかっていて」生きているかどうかで、大違いです。
 
 なぜなら、
「知らず知らず迷惑」に気付くと、自らの傲慢やエゴを正すことができるからです。

もう一つ、昔聞いた話を思い出しました。ある人が、
「私は殺生をしたことがない」
と言いました。それを聞いた、お坊さんが、笑ってこう言いました。
「あなたは、卵も魚も食べるだろう。自分で殺さなくても、誰かが殺したものだ」
「いえ、私はベジタリアンです」
「同じことだ。道を歩いていて、知らぬ間アリやクモを踏んでしまって殺してしまったことがあるかもしれない」
「注意しているから、踏みつけたりはしません」
「野菜だけ食べているらしいが、その野菜を洗った時、そこに付いていた虫が死んでしまったかもしれない。
その野菜をあなたが食べることで、そこにいた虫のエサが無くなってしまったかもしれない。
目には見えないかもしれないが、その野菜には、何十億という微生物や細菌が住みついていたはずだ。
あなたは知らぬ間に、その『命』を殺してしまっているのだ」
「・・・」

「知らず知らず迷惑」
やむなしです。

だから・・・というわけではありませんが、
一つでも、小さなことでも、
人に積極的に優しくありたいと思います。

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