メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第48回(その22)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」 ~反面教師に出逢った話~
メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第48回
(その22)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」
~反面教師に出逢った話~
☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと
「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。
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「反面教師に出逢った話」
志賀内泰弘
私は46歳の時、24年間勤めていた会社を辞め、講演活動を始めました。
これからの人生を、「ギブアンドギブ」という「生き方」で歩んでゆこう!と心には決めたものの、それがとてもなく険しい道であることを、しみじみと感じていました。
それは、「欲」との戦い。
どうしたらお金を楽して稼げるか。
ついつい、そんなことを考えてしまう自分を戒めつつも、欲望に流される自分のダメさ加減にあきれる毎日でした。
ちょうど、その時、とても辛い出来事が続けて起きました。
今日は、その二つの話を紹介させていただきます。
ある異業種交流会で講演した際、最後にこうお話ししました。
「全員の方と名刺交換するのは困難でしょう。
そこでホワイトボードに私の住所を書きます。
どんな相談事でも気軽にお便り下さい」
と。加えて、
「あらゆる人脈を駆使して事に当たります」
と大見得を切りました。
まだたいした人脈もないくせに、自分でも何と大それたことを言口にしてしまったのかわかりません。
きっと、「我欲」を捨てて、損得なく人の役に立とうと思ったのでしょう。
それでも、言ってしまってから、ドキドキハラハラしました。いったい、どんな難題が寄せられるかと。
その数日後のことです。先日の異業種交流会で名刺交換した、ある飲料メーカーの営業課長さんから、一通の大封筒が届きました。誰もが知る名前の会社です。中にはお中元のカタログが入っていました。そして、不特定多数向けのセールス文書が添えられていました。
驚きました。
私に、自社の商品を「買ってくれ」というのです。
確かに、「どんな相談事にも乗る」とは言いました。
でも、曲がりなりにも講師を相手にセールスしようとは・・・。
しかし、約束は約束です。ちょっとばかり意地になって同封の申し込み用紙に、友人5人の住所・氏名を書いてファックスしました。
お中元にしようと思ったのです。
すると、翌日、その課長さんからファックスが来ました。
「他にも只今キャンペーン中の商品があります。いかがですか」
と、さらなるセールスの言葉が綴られていたのでした。
「ありがとうございます」
の一言さえもないのです。
唖然としました。
この人はおそらく、相当にノルマが苦しいのでしょう。
でも、目の前の僅かな(たった5人分の)売上と交換に、大きな獲物を逃したでした。
一つは企業イメージです。
私は、二度とこの会社の製品は買わないと決めました。
当然、友人にもこの出来事を喋ります。
その中には、かなり社会的に影響力の強い人もいました。
もし、その課長さんから、
「お中元の売上ノルマが果たせずに困っています。どうしたらいいのか、良い人との付き合いの仕方、人脈の作り方を教えてください」
などと、頼まれたなら、私は全力で「売上アップ」に向けてお中元に使ってくれそうな友人の会社探しなどに奔走したでしょう。
いや、それだけではありません。
マーケティングの達人の友人を紹介したかもしれません。
「もったいないなあ~目先の利益に追われているだけで、仕事が上手くいっていないに違いない」
と思いました。
さて、その数か月後のことです。
「Sさんの紹介」と名乗る男性Hさんからの電話でした。Sさんから、
「ぜひ、志賀内さんに会って勉強しなさい」
と言われたというのです。
Sさんは、名古屋の老舗の異業種交流会の主宰者でした。
私はものすごく忙しい時期で、かつ体調も悪かったのですが、以前、お世話になったことがあるSさんの名前を出されたので、
「いつでもオーケーです」
と返事をしました。
すると、「今からでもお目にかかりたい」と言い、自宅までやって来ました。
差し出した先方の名刺を見て、ハッとしました。ある大手の商品先物取引会社の名前だったからです。
正直なところ、(まさか先物商品の売り込みじゃないよな)と思いました。でも、名刺を見ただけで偏見を持ってはいけないと思い、そんな気持ちを顔に出さないように努めました。
話を聞くと、Hさんは入社2年目。
異業種交流会へは、仕事ではなく、勉強のために参加しているといいます。
先方からそういうので、こちらも警戒心を解きました。
商品先物取引は営業が厳しい業界です。
一年目でほとんどの同期が退社してしまったそうです。
それでも、Hさんは頑張っているので、先輩に「お前は見込みがある」と言われているといいます。
約1時間話をしました。
拙著「タテ型人脈のすすめ」ソフトバンククリエイティブのほか、何冊かをプレゼントしました。
そして、とにかく、「仕事も人生もギブアンドギブだよ」と繰り返しました。
そして、「異業種交流会で知り合った人に、商品を売り込んではダメだよ」ともアドバイスしました。
その日、Hさんは、最後の最後まで、仕事の話を口にしませんでした。
私は心の中で、(合格)と呟いていました。
翌日、「出逢いに感謝」と書いて、ハガキを出しました。
それから、三週間ほどして、ハガキの返事が来ました。
またしても、(合格)と思いました。
「タテ型人脈のすすめ」の中に書いてある「ハガキを書こう」ということを実践してくれたのだと思い、嬉しくなりました。
ところがです。
それから、さらに一ヶ月が経ったある日のことです。Hさんから電話が鳴りました。
「来週、うちの会社のイベントに来てもらえませんか」と言うのです。
「イベントって何ですか」と聞くと、「先物商品の説明をさせていただきたくて」と答えました。
正直がっかりしました。「その日は旅行中で不在にしているので」と返事をして切りました。
それから二週間後。また電話がありました。
「またお目にかかりたいのですが」
と言います。
「何の用ですか」
と聞き返すと、
「いい話があるので、聞いて欲しいのです」
と言います。
「いい話って何ですか。私は、御社の仕事の話を聞くつもりはありません」
と答えると、
「では、どなたか紹介を・・・」。
もうがっかりでした。結局、先物商品を買わせる目的だけで近づいてきたのです。
「私の本は読まれましたか」と聞くと、「はい」と答えます。
「目の前のリンゴを食べてはいけない、と書かれてありましたよね」と尋ねると、「はい」と答えました。
それは、「目の前のリンゴ」を食べてはいけない。
そのリンゴの種を植えて、育てて、たくさんの実を生らそうというお話です。
つまり、人と出逢ったら、その人に何かをしてもらおうと考えてはいけない。
その人にギブアンドギブの精神で尽くして、大きな御縁に繋げよう。
その先にこそ、仕事上の成功がある。という教えです。
さらにHさんは続けました。
「いい話があるので会っていただけますか」
「忙しいので」
「いつならいいですか。例えば来週なら・・・」
残念としかいいようがありません。
おそらく、今のままでは、負のスパイラルから抜け出すことはできないでしょう。
早晩、会社を辞めることになるに違いありません。
どんどん信用も失い、友達もいなくなることは目に見えていました。
でも、でも・・・最初に訪ねて来たときのH君の目は澄んでキレイだったけどなぁ。
私は、「まだまだ、人を見る目がないということだろなぁ」と自戒しました。
でも、人を信じたいとも思いました。
それでも私は、一つ目の話の、飲料メーカーの営業課長さんのことも、二つ目の話の先物商品取引会社の二年目社員さんにことも、悪くいうことができませんでした。
実はその頃、私は本を出したくてたまらず、初対面の人にさえも、「どなたか出版社の編集者を紹介いただけませんか」と頼んでいました。
まるでその二人が、自分とそっくりに見えたからです。
そう、反面教師です。
「こんなことではダメだ」
「目先の利益ばかり追いかけていたら、一生目が出ないぞ」
大いに反省し、それ以後、人に出逢う都度、
「何かお役に立てることはありませんか」
と言うように心掛けるようになりました。
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