メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」トピックス№10完結しまた!「京都祇園もも吉庵のあまから帖」第10巻発売~7年前の執筆秘話~
メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」トピックス№10
完結しまた!「京都祇園もも吉庵のあまから帖」第10巻発売~7年前の執筆秘話~
☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「目の前の不幸は吉兆である」
志賀内泰弘
2019年9月に第1巻が発売されてから、あっという間に時が経ちました。
おかげさまで、拙著「京都祇園もも吉庵のあまから帖」第10巻が、3月11日に発売され完結しました。
先日、新聞の取材を受けた際、お二人の記者さんからまったく同じ質問を受けました。
「この小説を書き始められたのは、なぜですか?」
もちろん、京都が大好きだからです。
そして、祇園甲部のお茶屋「吉うた」さんをお訪ねした際、女将の高安美三子さんのお人柄、生きざまに魅せられて「この人をモデルにしたい!」と思ったからです。
でも、実は、それよりもずっと前に、「書くこと」になった経緯があります。
もう13年も前のことになります。
カミさんが、がんになったことがわかり、夫婦で絶望の淵に落ちました。
手術は不可能。
全身に転移しており、何もしなければ余命は3、4か月だと言われました。
それから、二人三脚で治療が始まります。
聞いていたものより、はるかに抗がん剤治療はつらく厳しいものでした。
私は、24時間365日、看病介護をして心身ともにボロボロ。
お医者さんには、「君の方が心配だ」と言われ、「自分が先に死んでしまうかもしれない」という恐怖と戦う毎日でした。
(その時の話は、中部経済新聞に連載させていだきましたので、よろしければこちらをご覧ください↓
https://shiganaiyasuhiro.com/kaigo/
壮絶ですので、読まれる際には心の準備をされますように)
さて、神様に6年間の寄り添う「時間」という「命」を与えていただき、カミさんを見送りました。
すべて尽くした。
もう何もできない。
生きる気力もない。
かといっても死ぬ勇気もない。
私は、まるで廃人のような毎日を送ることになりました。
歩いて20分ほどのところにできたスターバックスに行き、一日、本を読んでは空を見上げます。
気が付くと、日が暮れています。
当時のことを見ていた友人は、言います。
「奥さんを見送ったら死ぬって言ってたよな」
そんなこと言った覚えはありません。
でも、きっと言っていたのでしょう。
なにしろ、自暴自棄になっていたのですから。
友達は、私が、自ら命を絶ってしまうのではないかと心配してくれたのでした。
そんなある日のこと。
PHP研究所の担当編集者であるОさんから電話がありました。
「どうしてますか」
「なんとか生きてます」
「何かしてますか」
「スタバに通っています」
「ご飯食べに来ませんか」
「はい、暇なので行きます」
私は、Оさんに誘われるまま、新幹線に飛び乗り京都へ行きました。
会うなり、Оさんは言います。
「志賀内さんは書いた方がいいと思いますよ。なぜなら、書くことで、奥さんの看病ができたと言ってたでしょ」
そうなのです。
カミさんの看病介護で一番つらかった時、やはりОさんの勧めで月刊「PHP」誌に短編小説の連載をさせてもらったのでした。
毎月一本書くのは、たいへんでした。
カミさんが抗がん剤の点滴を打っている間にアイデアを考えます。
そして、「しんどいから寝てくる」と言って、ベッドに横になっている間にパソコンに向かいます。
「明日はどうなるんだろう」
という不安な気持ちを、「書く」ということで逃れられたのです。
たとえど、1時間でも2時間でも。
私は、
「はい、書きます」
と、答えていました。
そうして、廃人状態にあるにもかかわらず、「PHP」誌への連載が始まりました。
とにかく、心温まる話にしたかった。
今、つらい思いをしている人たち、
今、どうしようもない問題を抱えて悩んでいる人たち、
こんなに頑張っているのに、なぜ不幸なんだろうと落ち込んでいる人たちに、
元気になってもらいたい。
そんな思いで、書きました。
きっと、自分がつらかったから、その反動なのだと思います。
おかげさまで読者の皆さんに好評で、それがPHP文芸文庫として一冊にまとまることとなり、さらにそれが好評で、2巻3巻と続き、第10巻の最終巻となったのです。
辛いこと、よくない事、暗いことがあると、口癖のようにして、心の中で唱えることがあります。
「ああ、これは良いことが起こる前触れだ」
と。
もし、カミさんが、がんになっていなかったら、
「もも吉」シリーズは生まれていなかったかもしれません。
そうなのです。
目の前の不幸は吉兆なのです。
この言葉をテーマにして「もも吉」のお話の中でも、書かせていただきました。
もういつ死んでも仕方がない。
そう思っていた7年前。
なのに今は、
「もっと書きたい」
と何かに突き動かされるように強く思います。
「命」を注いで書き上げた10冊。
お楽しみいただけたら幸いです。
〇お願いごと
もし波長が合いましたら、当メルマガをお仲間に勧めていただけたら幸いです。
登録は、ここからできます。
https://shiganaiyasuhiro.com/
メルマガのバックナンバーも読めます。
〇志賀内の「ステキな仲間」たちの「心温まるエッセイ」は、志賀内泰弘公式サイト「いい話・いい仲間のプラットフォーム」の、「いい人・いい話のフェス」のコーナーのこちらからお読みいただけます。↓
https://shiganaiyasuhiro.com/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆☆☆志賀内泰弘公式サイト☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「いい話・いい仲間のプラットフォーム」
〇心が疲れたとき、悩んでいるとき、辛くてたまらないとき、
「いい話」駅の乗降場へ、ふらりとお立ち寄りください
https://shiganaiyasuhiro.com/
〇志賀内泰弘がおよそ30年間、取材、体験を元に書き続けて来た
「ちょっといい話」のアーカイブスです。
ここに集まる「いい話」の主人公に共通するキーワード。
それは、ギブアンドギブ! 「利他の心」です。
忙しい毎日をお送りの皆さんに、日々の生活からちょっぴり途中下車して、志賀内とその仲間(賢人・奇人・変人・達人) たちの「ハートフルな感動物語」をお楽しみいただき、心の癒しにお役に立てたら幸いです。
【メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」】アドレス登録解除
https://m1-v2.mgzn.jp/sys/unreg.php?cid=E3031164
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆