メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第105回「こんなスゴイ友達を紹介します! ~義足のランナー・島袋勉さん(その2)~

メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」
第105回「こんなスゴイ友達を紹介します!
  ~義足のランナー・島袋勉さん(その2)~

 ☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。
いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。

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沖縄に友人がいます。
島袋勉さんです。
彼には足がありません。それも、両方とも。

最初に、島袋さんの講演を聴いた時、びっくりしました。その両足の義足を、椅子に腰かけてみんなの前で外し始めたのです。
自分のすべてを見せる。
それは、なぜなのか?
それを知った時、心が震えました。
その生き様に心打たれました。
そんな島袋さんのことを書かせていただき、「眠る前5分で読める心がほっとするいい話」(イーストプレス 文庫ぎんが堂)に収めました。
「夢をあきらめない」人。
「みんなを勇気づける」人。私の心の師です。
前回に続いて、島袋さんのお話をお届けします。

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「現状を受け入れる3つのこと」
志賀内泰弘

島袋勉さんは、リハビリを進めるうち、「現状を受け入れなければならない」ということに気付いたといいます。
両足が無くなってしまったとか、身体障害者になってしまったとか。
そんなことで、ショックを受けていてはいけないんだと。

かといっても言葉で言うのは簡単です。
それをどうやって自分の行動で表したらいいのか。
次の3つのことを考えたそうです。

一つ目は、「無い物ねだりをしないこと」です。
無くなった二本の足は、もう二度と生えてきません。
だから、「足があれば」という言葉を使わないでおこう。
何かできないことがあった時に、「足があればできるよ」などと言わないようにしよう、と決めたのです。

二つ目は、「言い訳をしないでおこう」ということでした。
何かできないことがあった時、「足が無いからできないんだ」とか、「記憶障害があるから覚えられないんだ」「目が悪いからできないんだ」などという「言い訳」を、けっして言わないぞ、と決めたのです。

そして三つ目。それは、「自分の悪いところを隠さないでおこう」と思ったのでした。
島袋さんの講演を聴き、著書も読んだ私は、もっと、もっとその熱いハートに触れたくて会いたくなりました。
連絡を取り、初めての面談に出掛けました。
待ち合わせ場所は、沖縄の那覇市内にあるホテルのラウンジでした。
島袋さん、ずっとサポートして来られた妹の智美さんと一緒に現れました。

私は、その姿を見た瞬間、ドキッとしました。
両足は義足です。もちろん知っています。
でも、短パンをはいているので、膝から下には金属の義足がむき出しになって見えていたのです。
サッと差し出された手と握手をしながら、私は少し動揺していました。
てっきり、長いズボンを履いていると思い込んでいたからです。

私たちの隣の席のご婦人方は、その姿を見てギョッとした表情をされました。
もちろん、島袋さんは何も気にしていません。
話の途中で、その「短パンスタイル」のことにご自分から触れられました。
島袋さんがニューヨークへ行かれた時のことだそうです。
街中を歩いていて、信号待ちで交差点に立っていた。すると、何人もの通行人が「両足とも義足」であることが珍しくて、近寄って来て眺める。
その中の一人の幼い子供が島袋さんの両足を指差して、ママに向かって言ったそうです。
「なんで足がないの?」

島袋さんは言います。
「日本だったら、こういう時、母親は『見ちゃいけません』というような、見て見ぬフリをさせます。でも、アメリカでは違ったのです」
幼い子供のママは、「足が無くなったから、義足をしているんだよ」と、ちゃんと説明したといいます。

この話を聞いて、私も思い当たることがいくつもありました。
電車に乗っていて、同じ車両に乗り合わせた知能の障がいのある人が、少し大きな声を上げた時のことです。
小学生の子供が「何言ってるの?」と母親に尋ねたら、母親は「シー」と口に手を当てて子供を強く引き寄せたのでした。
まるで、「関わっちゃダメ」とでも言うように。

私の弟は、心身ともに障がいがあります。
多くの人たちの善意によって生きて来られました。
でも、「見て見ぬフリ」という空気を何度も間近にしたことがありました。

さて、ここで島袋さんの「現状を受け入れる3つのこと」に戻ります。
最後の1つの「自分の悪いところを隠さないでおこう」です。
島袋さんは、これは「見てわかる」ことなので、比較的簡単に実行できると言います。
そうです。短パンで義足をニョキッと出すだけなのですから。
でも、私だったら、それができるだろうか。
普通なら、自分の弱点、欠点は見せたくない。
いや、隠したいものです。
ましてや・・・。それを笑顔でやっている。
なんという強い人なのだろうと尊敬しました。

島袋さんは、社会復帰を遂げマラソンに挑む過程で、「これまで、たくさんの人たちから手を差し伸べてもらった。何か恩返しをしよう」と考えました。
そこで、講演活動を始めたのです。
その数は、1.150回を超えました。
特に小・中・高等学校での講演が多く、地元沖縄では、かなりの有名人です。

その際、島袋さんは、あえて長ズボンをはかないそうです。
いつも短パンで義足を見せます。
それだけではありません。
壇上で椅子に腰かけ、カチッカチッと義足を取り外して、子供たちに切断された膝と義足を見せるのです。

当然、子供たちはショックを受けるでしょう。
でもそれは、子供たちに「どんな苦難にも負けない心」を養ってもらいたいからだと言います。
そのため、島袋さんがスーパーに買い物に出掛けると、見知らぬ子供たちが駆け寄ってくるそうです。
「島袋さーん」
と親しげに。
学校で講演を聴いたことのある子たちです。

ある時、島袋さんが街を歩いていると、一人の小学生が息せき切って走り寄って来ました。
そして、夢中で話し掛けられたそうです。
「僕ね、◇◇小学校の○○△男です。夢はサッカー選手になることです」
彼にわざわざ「将来の夢」を宣言しに来たのでした。
そうです!間違いなく、島袋さんの行動は、多くの人たちに勇気を与えているのです。

またある日のこと。
朝,自転車で走っていて信号待ちで止まっていると、
「島袋さーーん」
と声がしました。
歩道を見ると高校生がいました。
目が合うと、
「昨年,お話ありがとうございました。僕もがんばります!」
と、一礼してくれたそうです。

「現状を受け入れる3つのこと」
それは身体にハンディを持つ持たないに関わらず、すべての人を「幸せ」に導く「生き方」です。

                      
 
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