メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第115回「モスバーガーの心温まるいい話」(その2)~三度目に名前を訪ねる~
メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」
第115回「モスバーガーの心温まるいい話」(その2)
~三度目に名前を訪ねる~
☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。
いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。
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経営コンサルタントとして活躍されているoffice igatta代表・田村茂さんが、(株)モスフードサービスで専務取締役をされていた時に、
「こんなスゴイお店があるんだ」
と教えていただき、大阪の都島店に飛んで行きました。
そこで、女性スタッフNさんから伺った話です。
このモスバーガー都島店には、よくパジャマにカーディガン姿のお客様が来店されます。
深夜ではありません。
昼日中にです。
すぐ近くに大阪市立総合医療センターという大きな病院があります。
難病治療で知られ、患者さんが全国から来られる。
そのため、可動式のポールを引いて来て、点滴をしながらコーヒーを飲まれるお客様もいらっしゃるのです。
まるで、病院内の喫茶店みたいな存在なのです。
毎日、同じ時間に来られるので、「入院されているんですか」と声を掛けると、「そうなんです」と一言。
それがきっかけで、「温かいですね」「寒いですね」と会話が始まります。
中には、「いや、実は、こんな病気でね・・・」とご自分から話される方もあり、都島店のスタッフはお話を聞いて差し上げるように努めているというのです。
ハンバーガーを作ると言っても、ソースの量も肉・パンを焼く時間も決まっている。
誰が作っても、マニュアル通りにすれば同じものが出来上がる。
でも、その中で1%でもいいからホスピタリティをプラスアルファして、お客様に満足していただきたい。
Nさんは、そこに働く喜びを感じると言います。
その一つが、お客様への声掛けでした。
都島店では一つのルールがあるそうです。
それは、「3回、同じお客様の顔を見たら声を掛けよう」というものだそうです。
例えば、本を読まれていたら、「何のご本ですか?」と。
「村上春樹です」という返事があった際に思い切って「もしよろしければ、お客様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」と。
たいていのお客様が教えて下さるそうです。
そして、その名前を他のスタッフにも教えて共有し、翌日からはみんなで名前でお迎えするというのです。
まるで、リッツ・カールトンホテルみたいですね。
入院生活をしていると、辛いし寂しい。
誰かに話を聞いてもらいたいと思うもの。
だから、声掛けする。
でも、こちらは黙って話を聞いて差し上げるという姿勢に徹し、向こうから口にされるまで病気のことは尋ねたりはしない。
顔色が悪いときには、「○○さん、しんどいですか?」と聞いて差し上げる。
すると「薬がなあ・・・」とおっしゃる。
髪の毛が抜けていたりすると、ある程度その状態もわかる。
抗がん剤の副作用で気分が悪くなったり、手足が痛むのですね。
また、「今日は検査やねん」と暗い表情の方も。
「しゃべると何より気が紛れるよ」と嬉しそうに言われることともあるそうです。
話し相手になることが大切なのだと実感するそうです。
ある日のこと。余命1年と告知されていた常連の70歳くらいの男性のお客様が、
「あかんワシなぁ、医者からなぁ、思い残すことがあったら今のうちにやっておくようにって言われてなぁ」
と。すごくしんどそうにおっしゃった。すかさずNさんが、
「そんなこと言わんと、またお茶を飲みに来てよ~」
と言うと、
「また来るわ~」
と言い、帰って行かれました。翌日、また来て下さったので、
「元気そうやん」
と言ったら、笑顔で、
「今日はちょっとマシやなぁ。今度一緒にご飯行こか」
(これってナンパ!?)
「私、高いお店に連れて行ってもらっていいですか」
「ハハハ、いいよ」
なんて冗談を言い合ったそうです。
店長のHさんからも、こんな話を聞かせていただきました。
ずっと来て下さるお婆ちゃんがいるそうです。
大らかで笑顔がとても素敵。いつも笑顔を拝見するだけで、心に温かくなる。
いつしか愛称で呼び合うようになりました。
ある日のことです。深刻な顔つきで、
「さおりちゃん(H店長のこと)・・・」
「Mちゃん、どうしたの?」
と聞くと、
「がんになっちゃったんだよ」
そして、「手術が嫌なの、これで人生が終わりでいいの。
このまま治療せず、薬も飲まずに死のうと思う」と青ざめた顔でおっしゃったのでした。
Hさんは、思わず、
「やめて~、私、Mちゃんのいない人生なんて考えられない。その笑顔がない毎日なんて!」
そうしたら、なんと「わたし、手術するわ」と言って下さり、向き合って一緒に泣きました。
今は手術も終えて、ずいぶん元気になられたそうです。
他にも、「え?」と信じられないことがたくさんあるお店です。
冷たい麦茶のサービスがあり、ハンバーガーを食べていたら、目の前にポンッと置かれてびっくり。
まるで、下町のお好み焼き屋さんみたいです。
夏場には朝一で、みんなでお湯を沸かして大量に作り、冷蔵庫に淹れて冷やしておくそうです。
年配のお客様には、温めて湯呑でお出しすることも。
帰りがけに、店を出て行く高校生に「頑張って勉強しいや!」と掛けるスタッフの声が聞こえました。
物を売らずに心を売る。商いの原点がここにありました。
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