メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」トピックス№23 「新作小説発売記念「出版裏話」・・どうか「先生」と呼ばないで。「志賀内さん」と呼んでください」

メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」トピックス№23
 「新作小説発売記念「出版裏話」・・どうか「先生」と呼ばないで。「志賀内さん」と呼んでください」
 
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☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。
いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。
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2026年4月8日発売予定の
新刊「京都一条戻橋 晴子のブックカフェ」(PHP文芸文庫)では、
https://www.amazon.co.jp/dp/4569905625

既刊「京都祇園もも吉庵のあまから帖」と同じように、たくさんの取材をしました。
名刺を交わすと、たいていの場合、こう言われます。
「へえ~作家さんですか」
そして、会話が始まると、
「先生はどう思われますか?」
「先生もご存じかと思いますが・・・」
と言われます。
これにはたいへん戸惑います。
「先生」と呼ばれるのが苦手だからです。

この話をするには、20年ほど時を遡らなくてはなりません。

35歳の時、パワハラに遭って倒れて入院し、その後もずっと人間関係に苦しみ
ました。
ずっと長いこと、会社を辞めたいと思っていたものの、
じゃあ、辞めてどうするのか。
家族は養えるのか。
自分で会社を興して成功させる自信もないくせに、「辞めたい、辞めたい」と思いながら、会社勤めを続けていました。

46歳の時のことです。
辞めざるをえない状況に追い込まれました。
病気の父親を看病していた母親が倒れ、二人の看病・介護をしなくてはならなくなったからです。
今で言うところの「介護離職」です。
(当時は、そんな言葉はありませんでした)

両親を見送った後、
「さて、どうやって食べて行こう」
と考えました。
既に、4冊の本を出版していましたが、とうてい印税だけで生活するには程遠い状況です。
そこで、自らセミナーを企画したり、講演活動をして稼ぎました。
 
初めのうちは、謝礼は「夕食代」程度でした。
それが、少しずつ上がっていき、5年ほど経った時、講演料はサラリーマンの
月収くらいの金額にまでになりました。
悠々自適とまではいきませんが、暮らしの不安はなくなりました。

たいてい常に半年から一年先までスケジュールが入りました。
全国、行く先々でこう呼ばれました。
「先生」
と。
なんだか、むずかゆくて、主催者や司会者の方に頼みました。
「お願いです。先生と呼ぶのは辞めてください」
「でも、先生は先生ですから」
「いや、私はそんなに偉い人ではありません。志賀内さんと呼んでください」
「わかりました」
承知して下さり、講演会が始ります。

にもかかわらず、司会者が、
「本日の講師の志賀内泰弘先生のプロフィールをご紹介します」
と、始められます。
「あの~さきほど打合せでお願いしましたが・・・」
「ああ、そうでした。志賀内先生から、先生とは呼ばないようにと言われておりまして・・・志賀内さんのプロフィールは・・・」
こんなやりとりも、なんだか面倒なのですが、ここが私のこだわりです。
 
そして、講演が終わったところで、再び司会者がマイクを取り、
「志賀内先生、ありがとうございました」
あまりにも「先生と呼ばないで」と繰り返すのも場がしらける元です。
心の中で、「はあ~仕方ないか」と呟き、受け入れます。
 
ある時、経営者の団体で講演させていただいた時のことです。
講演後の懇親会で名刺を交わした高齢の経営者の方から、後日、「話がある」と電話があり、私の自宅まで来られました。
開口一番、こう言われました。
「講演をする人は、先生と呼ばれてしかるべきです。
それをこばむべきではない。
私は休日に公民館で子供たちに武道を教えている。
もちろん、教える立場なのだから、先生と呼ばせている。
あなたもそうしなさい」
それはまるで、お説教のようでした。

私は、それにこう答えました。
「世間の方が、先生と呼ばれることに何か意見がある訳ではないのです。
これは、ただ私の個人的な考えによるものなのです。
食べるため、生きて行くために講演の仕事を始めました。
おかげさまで、その機会が途切れることなくお誘いをいただきます。
でも、そのうち、ふと気づいたのです。
態度が横柄になり、「先生面(づら)」していることに。
例えば、わかりにくい会場なのに、なぜ出迎えがないのかとか、
講師料を値切られて不快だとか、
参加者の聴く態度がよくないとか、
いつの間にか、偉そうな態度をとっている。
つまり、天狗になってると。
たしかに、どこへ行っても「先生、先生」と呼ばれたら気持ちがいいです。
でも、そんなことを続けていたら、人間がダメになってしまうと思ったのです」

その経営者の方に、本心を打ち明けたのですが、
「気持ちはわかった。
それでも、教える人は、先生と呼ばれるべきだ。
あなたは謙虚なのだろう。
しかし、謙虚過ぎるのも問題だ」
と憮然として帰って行かれました。

いえいえ、謙虚だから「先生」と呼ばれたくないのではないのです。
小さなことにクヨクヨしてばかりだし、
ちょっと体調が悪いと人生に悲観するし、
売れてる作家さんに嫉妬するし、
批判や悪口を言われると、何日も眠れなくなります。
私は凡人、小人、俗人です。
そんな奴が、「先生」であるわけがありません。
心が弱いから、「先生」と呼ばれると図に乗ってしまい、
ダメ人間になってしまうのではないかという恐怖に襲われるのです。
 
その後も、
「先生と呼ばないでください」
と、お願いして講演活動を続けていました。
しかし、病気のカミさんを看取ったのを機に、スッパリと講演活動を辞めました。
その理由は、さまざまあります。
一番は、健康面。
持病から体調に波があるので、引き受けた時には良好でも、講演の当日に最悪の状態ということがあったためです。
二番目は、小説を書くことに集中したいから。
残された人生の時間を考えると、本当にやりたいことだけに絞りたい。
お金は欲しいけれど、時間の方が大切と思ったからです。

そして、三番目。
「先生」と呼ばれなくても(呼ばないようにしてもらっても)、やはり、何十人、何百人の聴衆を前にしてしゃべると気持ちがいい。
すると、心の奥底から「傲慢」という輩がむくむくと顔を出してくる。
不遜になる。
ついつい天狗になってしまう。
もしも天狗のまま歳を重ねたら、きっと碌な死に方はしないに違いない。
そう思ったのです。
 
さてさて、出版業界では、作家のことを編集者さんは、「先生」と呼びます。
これは慣習で、どの出版社さんも同じです。
どの出版社さんでも、最初に編集者さんに名刺交換をした際に、
「先生ではなく、志賀内さんと呼んでください」
と、お願いしています。

実は、小説を書くためにあちこち取材に出掛けた先でも、
「先生」
と、呼ばれることがあります。
とある京都の老舗企業を取材した時のことです。
「わざわざ、先生にお越しいただき、ありがとうございます」
と、社長さんに言われました。
ここで、いつものように、
「先生とは呼ばないでください」
とお願いします。
すると、
「わかりました。では志賀内さんとお呼びしてもよろしいですか?」
「はい、ぜひ」
そうして取材が始まるのですが、たいていの場合、途中から、
「先生、少し休憩しましょうか」
「先生、お飲み物は何を召し上がりますか?」
「先生、帰りのお車を及びいたしましょうか」
と、「先生」と呼ばれてしまいます。

社長さんは「志賀内さん」と呼んでいただけても、秘書や社員さんに「先生」と呼ばれることもあります。
その都度、わたしの「こだわり」で、
「先生はやめてください」
とお願いするのも、ややこしい。
また、「先生」という立場の方が、取材がスムーズにいくこともあります。
心の中で、「先生じゃないんです」と唱えながら、取材を続けます。

そんな取材の積み重ねを経て、新刊
新刊「京都一条戻橋 晴子のブックカフェ」(PHP文芸文庫)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569905625
が出来上がりました。

でも、でも、でも、
もし、新刊が大・大・大ベストラセーになったら、
「おい! 先生と呼べ」
と、大きな顔をして威張ってしまうかもしれませんが・・・。

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それは、ギブアンドギブ! 「利他の心」です。
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