日本一の秘書・中村由美のワンポイントレッスン

日本一の秘書・中村由美のワンポイントレッスン
中村由美

〇 拙著の中から、私自身が心に残ったお話を、いくつかご紹介したいと思います。

「電話に出るのが早い」事件は、ご紹介いただきました。電話つながりで一つ。
壱番屋時代は、受電順位があるほど、お客様からの電話対応は厳しいものでした。電話が長くなれば、掛けた方の料金負担が掛かるわけですから、宗次(ココイチ創業者)曰く、「テンポよく、感じ良く」「後ろにも目を」と良く言われたものです。確かに丁寧だけれど…毎回聞かれる…という思いをしていませんか?させていませんか?ということです。まさに“たかが電話、されど電話”だと思うのです。そして意外なことは、電話対応というのは、第三者が見聞きしているということです。電話の相手や内容が分からなくても、その様子で関係性や内容まで何となく分かるものです。会社の雰囲気や、あなた自身のイメージをより感じ良くするためにも、どんな状況でも相手に目を向け気遣いながら対応したいものです。
(仕事に差が付く 気配りの教科書 p32 p46)

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「相手の立場に立つ」や「気遣い・配慮」は、自身の状況によって、左右されることもあります。ましてや「自分ばかり…」や「気疲れする」という思いも多く聞かれます。「日本一秘書の気配り力(p50)」の中で、ある新人との会話をご紹介しましたが、自分だったらどうしてほしいか…から考えることでしょう。自然に〇〇しようという心からスタートすることです。しかし、ここで一つ大きな落とし穴があるのです。接客においては「お客様を満足させる」のではなく「お客様が満足する」ことをし続けることが大切と宗次は言い続けております。つまりお客様第一主義に基づくものです。通常の人間関係も同じで「周りの人はすべてお客様」と考えれば、誰にでも配慮が出来ると申しておりました。確かにお客様と思えば、手間を手間と思うこともなく、行動できます。周りの人を分け隔てなく平等に思うことで、発する言葉や行動は変わると思うのです。
(仕事に差が付く 気配りの教科書 p183)

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僅かな対応の違いで、その後の印象ががらりと変わってしまう例として、ホテルの受付での事件や、お取引先様からのお心遣いをご紹介しました。(日本一秘書の気配り力p66)
言えることは、本当に平等に対応するためには、自身の心が感謝の心をもって相手のことを見ているかだと思うのです。何より都度伝えられるか…かもしれません。宗次はいつも「ありがとう」を忘れません。何事にも「(してくれて)ありがとう」なのです。この言葉は、皆様もご存じの通り、魔法の言葉。「何か嬉しい」「またやろう」と思うのです。何事も言葉に出さなければ分からない。言わなければ伝わらないということ。当たり前とせず、一つひとつをしっかり受け取めて、相手を見て柔らかい表情で感謝を伝えたいものです。
(日本一秘書の気配り力p68)

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日々、心を向けて周りの人と対峙していても、時には「ちょっと違うなぁ」「そんなつもりはないんだけど」という些細な差ができることがあります。この温度差は、そのままにしておくと、大きな溝となっては、今後の関係にも支障が出てきます。
宗次は、アンケートはがきの苦言が、得難い改善点と考えていました。「クレームはありがたい」と本当に思い続けられるかでしょう。苦言は、自身の改善・成長のためととらえるために、まずは受け入れることでしょう。中々苦言は「そんな思いはない」や「誤解だ」ということもあるかもしれません。そんな時「なぜそうなったのか」「そう見えた」と客観的に捉えることが大切かもしれません。一つの事例として捉え、どう対処するか、改善するかと考えるのです。その過程で、「あぁ、私のミスだった」「○○しておけばよかった」ということが見つかれば、素直に認め改善することもできると思うのです。
また、考え方が違うとシャットアウトするのではなく、まずは受け入れる…「そういう考え方もあるのか」と客観的に捉えるようにするのです。自分と違うからと言って、間違っているとは限りません。逆に良い考えの時もあるからです。まずは客観的に受け入れましょう。心と目を向けることです。(仕事に差が付く 気配りの教科書 p66/p88)

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こうした客観的な、ある意味柔軟な考え方は、プラス思考であれば、より楽にスイッチしていくかもしれません。超プラス思考の宗次の元、石橋を叩きすぎて割ってしまうような性格の私でさえ、「やってみなければ分からい」「まずはやってみよう」という思考に少しずつ感化されていきました。「できないこと」より「できること」を見つけ、行動する。これが重要に思うのです。よくある、「○○しようと思います」ではなく「○○します」なのです。目標などを語る時、「思います」で締めくくる方も多いようですが、是非とも自身の意欲や向上心を伝える場合は、「する」で締めくくることです。宗次は経営哲学として「理論より実践」。自分がしますという気持ちで何事も実践することこそ、成功のカギ、成長のコツだと言っています。私自身も、秘書の仕事の中で、能動的な行動が大切だと確信しています。(仕事に差が付く 気配りの教科書p170)

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まずはやってみて、相手の反応を見ながら相手のためを思い対応していくこと。そのためには、能動的に言葉がけをして、相手の反応を見ながら行動し続けること。これこそ、気配りの基本。それが自然にできる宗次両名のもと、秘書として付けたことは、私のとって何よりも変え難い機会であったと、改めて感謝しています。

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宗次德二 秘書 中村由美