お天気のトリビア①「梅雨入りは9月に決まる」

お天気のトリビア
気象予報士 寺尾直樹
① 「梅雨入りは9月に決まる」

毎年、テレビ・新聞などマスメディアでは、5月末頃から「梅雨入りがいつか?」が話題となる。各局の気象キャスターは、少なからず他局の気象予報士にライバル意識を抱きつつ予想する。
ある年のことだ。ニュース番組の中で、「今年の東海地方の梅雨入りは、平年よりも大幅に遅れて6月下旬に入ってからになるかもしれません」とお伝えした。ところが・・・その翌日のこと。気象台が「6月7日に梅雨入りしたものとみられます」と発表してしまったので、その日の番組では、まさしく針のむしろ。メインキャスターから「寺尾さん、たしか昨日・・・」と面白おかしくいじられた。
予報が大きくはずれた場合、必ず気象予報のコーナーの冒頭で謝るようにしている。だが、この時ばかりは謝らなかった。それはなぜかというと・・・。
気象台では「梅雨入り宣言」もしくは「梅雨明け宣言」なるものを発表していないからである。あくまでも「・・・とみられる」という表現。実は、気象台は9月になってから「今年の梅雨入りは○○でした」と確定した日にちを発表するからだ。その年の梅雨入りは「6月21日」だった。「どうだ!」とドヤ顔したいところだが、9月になって梅雨の話をしても、誰も「さすが!」と褒めてはくれない。梅雨は気象予報士泣かせ。トホホ。

「ココロがパーッと晴れる「いい話」
気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル」(ごま書房新社)より