ピンポーン…その後の話 (2008/2/24)

 一月二十七日付の「ほろほろ通信」でこんな話を紹介した。おばあさんがお孫さん二人と豊橋方面へ出掛けたバスの車中でのこと。お孫さんたちは次の停留所がアナウンスされるたびに「押してもいい?」とおばあさんに聞く。終点が近づくと、マイクを通して運転手さんの声が聞こえた。「ボタン押してもいいよ!」。上の子が「ピンポーン」、下の子も喜んで「ピンポーン」。二人はバスを降りた後もずっと手を振り続けたという話だ。

 「そのコラムのことで教えてください」と豊橋鉄道の方から電話を頂いた。「関連会社の豊鉄バスの運転手だと思います。手本になるような社員なので褒めてやりたい。いつそのお客さまが乗車されたのか調べていただけませんか」と。早速、投稿者と連絡を取った。

 数日後、豊橋鉄道さんから報告の電話を頂いた。当時の運転手さんが判明したという。運転手さんには休憩時間に直接お話をうかがうことができた。実は、似たようなことが以前もあり、これが三度目だという。子ども同士で「僕が押す」とけんかになることもある。子どもにとってはよほど魅力的なボタンらしい。そんな経験から安全運転に支障のない範囲で行ったとのこと。

 シルバーカーを持ったお年寄りが乗車する際、手伝いたいが運転席を離れるわけにはいかない。そんな時、ほかの乗客が手を貸してくださる。「ご協力ありがとうございます」とアナウンスする。高校生がお年寄りに席を譲るのが見えた。そんな時も「ありがとうございました」と言う。快適にとはいかないが、せめて気持ちよく乗っていただけるよう心掛けているとおっしゃった。

 二人のお孫さんには豊鉄バスからオリジナルのおもちゃ、チョロQがプレゼントされた。数日後に二人から一通のはがきが運転手さんに届いた。チョロQバスが絵の具で描かれてあったそうだ。運転手さんにぜひにとお願いしたが、名前を出すことは固辞された。「私だけではありませんから」と。