レジでの出来事 (2008/5/11)
たくさんの投稿が届く。うれしい限りだ。必ずすべてを拝読させていただいている。人命救助や多額の寄付の話ばかりが「ほろほろ」ではない。今日も町のあちらこちらで小さなドラマがある。
名古屋市緑区の西尾敦子さん(40)がスーパーに買い物に出掛けた時の話。その日は特売日。六カ所ほどあるレジは、どこも十人以上の列ができていた。その一つの最後尾に並んで待っていると、後ろから老夫婦の話し声が聞こえた。
白髪の奥さんが「どこに並んだらいいでしょうねえ」と迷っていると、八十歳代に見えるご主人が「早く払っていくぞ」とつぶやいた。ご主人はつえをついておられ、買い物に疲れた様子。西尾さんは「よかったら私の前へどうぞ。こんな後ろですが」と声を掛けた。奥さんは「ありがとう。すみませんねえ」と言って前へ入った。ご主人は離れた所で待っておられた。
そのやりとりをチラチラと見ながら聞いていたもう一人前の人が「私の前にどうぞ」と勧めた。さらにその前の人も「どうぞ」と声を掛ける。耳が遠いらしくずいぶん大声で「どうもすみませんねえ」とお礼を言った。
どこまで行けるだろうと、西尾さんは興味深く見守っていたら、みんなが次々と順番を譲ってとうとう先頭まで行ってしまった。二人並んで店を出る背中に「慌てないで。転ばないように」と心の中で声を掛けたという。