清掃の輪広がった (2009/12/13)

 加藤安英さん(57)が勤める会社では、事務所のある名古屋市中区の伏見交差点近辺のごみ拾いをしている。職場の有志三十人ほどが定時よりも早く出勤して参加する。上司の命令でも会社の指示でもない。誰かれとなく始めたボランティアだ。このことを知った会社は、全員にそろいのスタジアムジャンパーを作ってプレゼントしてくれたという。

 その参加者の一人が、近くのカフェに入った時のこと。その店の店員から「この辺の掃除をしていましたよね。見かけたことがありますよ」と言われた。聞けば、カフェの従業員たちも以前から店の周辺の清掃活動をしているのだという。それがきっかけで、コーヒーを買いに行くたびに親しく話をするようになった。

 ある日のこと、どちらからともなく「お互いの職場も近いことだし、一緒にやりましょうか」という話になった。早速、都合の良い日にちを調整して合同で活動することになった。最初は二ブロックだった範囲が三ブロックに広がった。知らない会社で働く者同士が清掃を通じて仲間になった。

 加藤さんは言う。「決して掃除が好きな人ばかりではないでしょう。でも、みんなでやると楽しくなります。きれいになると気持ちがいい」

 思わぬ余得も。清掃が終わった後で、そのカフェから参加者全員にコーヒーの差し入れがあるのだ。これがことのほかおいしく感じられる。これからも、もっと会社ぐるみで参加する仲間が増えるといいなあと、みんなで期待しているという。