お母さんってすごいね　（２０１０／１／３１）

　名古屋市緑区の小川真由美さん（４４）には高校二年と中学三年の娘さんがいる。下のお子さんが中学生になった時、二人を残して初めて夫婦二人で五日間の旅行に出掛けた。「頑張って生き抜いてください」と言い残して家を出た。自立心を育てるためだ。特に家事を教えていたわけではないが、弁当も自分たちで作り学校へ持って行った。

　さて、今回が三回目。帰宅すると、洗濯も炊事もちゃんとやっていた様子。家族がいつもの生活に戻ったある日のこと。晩ご飯を作っていると、中学の娘さんがその様子をそばで見ていてボソッと一言。「お母さんってすごいね」。その日は、牛肉と野菜を使ったちょっと凝った献立だった。留守中に料理で苦労をしたからか、感心してくれたらしい。

　「私がいない間に料理も掃除も洗濯もアイロン掛けも頑張ったあなたたちの方がすごいわよ」と褒めた。すると「自分は一品作るだけで大変。お母さんはおいしい料理を手早く何品も作れるからすごいよ」と言う。そこへ高校の娘さんが帰って来た。「あー、やっぱり帰って来て、ご飯ができていて、お風呂が沸いているのっていいねー」とうれしそうに言った。

　普段は二人とも「ボタンが取れちゃった、付けといて」とか「おなかすいたー何かないー」と口にする。でも、短い期間でも家を空けたことで、当たり前だと思っていたことも、誰かがやっていること、誰かがやらないと回らないことに気づいた様子。小川さんはお子さんたちの成長が何よりの喜びだったという。そして料理を褒められたことも。