レジの女性の気遣い (2012/4/8)

 春日井市の小椋麻咲子さん(35)は、いつも買い物に出掛けるたびに苦労する。生後七カ月の息子さんを抱いていると、大きな荷物を持ち運びできない。特売品があっても最低限の物だけ買って帰ってくる。

 その日もスーパーマーケットで、眠ってしまった息子さんを抱えてレジに並んでいた。順番が来ると、六十歳くらいのレジ係の女性が、何も言わずにエコバッグに商品を詰め込んでくれた。もちろんセルフサービスなのに…。お礼を言うと、その女性は笑顔で答えたという。「赤ちゃんがあまり気持ちよさそうに眠っているから。私のところにも来年、孫が生まれるんですよ。でも、息子のお嫁さんにおせっかいだと思われるといけないから、あまりお手伝いができないかもしれないの。お嫁さんがどこかで親切にしていただけるようにと思って、自分にできることをしているだけです」。小椋さんは自分の後ろに並んでいた買い物客にもお礼を言うと「いいよ、いいよ」と言ってくれた。帰宅してすぐにご主人に報告。すると「ありがたいね」と涙ぐんだという。

 実は、そのスーパーはおなかが大きかったころから何人ものレジ係の人に親切にしてもらっていた。後ろに並んでいるお客さんをあまり待たせないように気遣いつつ、重いかごを袋詰めの台まで運んでくれるなどして。

 小椋さんから春日井市朝宮町にあるスーパーAのスタッフの皆さんへ。「ありがとうございます。自分がいただいた親切はどこかでお返ししたいと思います。どうか温かい親切の輪が大きく広がりますように」