11「寝かす」

 伊勢神宮は、20年ごとに建て替えられます。それを式年遷宮といいます。次の遷宮は、平成二十五年です。そして、はやくも昨年、その最初の祭事が行われました。

 ご神体を納める容器「御樋代(みひしろ)」に用いるヒノキが木曾の山で切り出されたのです。

 そのとき、木を「切り倒す」とは言いません。「寝かす」と言うのだそうです。

 なんともステキな優しい言葉ではありませんか。木に神様が宿っているから、という説明もつくでしょう。でも、それ以前に、木にも生命(いのち)があります。命のあるものが横になれば、それは人間と同じように、「寝かす」という表現がぴったりではありませんか。

人は、自然と共に生きてきました。人も自然の中の一員です。まさしく、自然に対する尊敬の念が表れていている言葉ですね。