「福島発!もっと広がれ『恩送り』の輪(その2)~「みんなの食糧庫」ってなんだ!

NPO「チーム福島」代表・半田真仁さんのこと

「福島発!もっと広がれ『恩送り』の輪(その2)
~「みんなの食糧庫」ってなんだ!
志賀内泰弘

「欲する人」と、「応援したい人」をつなぐ場所
はぐちゃんの「行動力」は、それだけに留まりませんでした。
次に取り組んだのが、「みんなの食糧庫」です。
「BLTカフェ」の建物の脇に、冷蔵庫と棚を設置しました。そして、地域の人たちに呼びかけます。
「食べ物を必要としている方に、あなたの家の不要な食べ物を差し上げてください」
と。冷蔵庫と棚のところには、こんに紙を貼り出しました。

「お互いさまの街ふくしま」
みんなの食糧庫

見知らぬ誰かの善意で、ちょっと食材のお裾分け。
それが「みんなの食糧庫」。ここにある食材は、誰もが
自由にお持ち帰りすることができます。
そして、誰もが自由に食材を置いていくことができます。
善意のキャッチボール一緒に参加してみませんか?
「恩送り」「フードロス」「子育て」「貧困」「コロナ」
どんな理由でご利用していただいても構いません。

そこに「思いやり」「優しさ」が生まれるのであれば。
そしてこの「みんなの食糧庫」が福島市内に何十か所と
設置されたら、福島市は世界一思いやりに溢れた
「おたがいさまの街」になると信じています。

お互いさまの街ふくしま普及委員会

 カップラーメンなどが続々と集まる
はぐちゃんも、勢いで始めたものの、ちょっぴりうまくいくかどうか不安だったそうです。それが驚くほど大勢の人たちが、食材を持って来てくれたのです。カップラーメンなどの保存食はもちろんのこと、近隣の農家さんは大量のイチゴや野菜を棚に置いて行ってくれました。流通するには、ちょっとだけ規格からはずれていたり、傷ついている野菜や果物は、廃棄される運命にあります。
「それなら、誰かの役に立った方がいい」
と思ってくれたのです。フードロス対策にもなりました。

冷凍庫にはアイスクリームが入っていました。なんと、すぐ近くにあるセブンイレブンで5.000円もの食品を購入して、冷蔵庫と棚に置いて行ってくれた人もいました。はぐちゃんは言います。
「お金に困っている人だけでなく、誰が持って行ってもくれてもかまわないんです。『一人で全部持って行っちゃう人はいませんか?』って訊かれます。いいんです、それでも。なぜなら、『見返りを期待していなから』、イラッともしません。ただ、みんなの食糧庫をみんなで楽しんだらいいと思っています。これ、どこの家で食べてもらえるのかな~て妄想を楽しもうよ」

棚の野菜を、「これ本当にもらってもいいの?」と聞く人もいます。「もちろん「いいよ」と答えます。その野菜をもらっていった人が、今度は「これ近所の人からもらったお菓子だよ」と言って棚に置いて行きます。
そう、みんなの食糧庫が地域のコミュニケーションの場になったのです。

そしてこのアイデアは、飲食店でなくても、「志」さえあればどんな人でも始められるのがメリットです。
半田さんから悲報が届きました
半田さんと、ネットセミナーの企画を進めていた最中のことでした。急に、半田さんと連絡が取れなくなってしまいました。メールも返事がなく、電話にも出ません。

「はぐちゃん急逝」
「子ども食堂カレー」の打ち合わせの数時間後、事務仕事の最中倒れたというのです。さっきまで、夢を語り合っていたというのに。はぐちゃんは、その2週間後、家族に見守られて「夢半ば」で天国に旅立ちました。

半田さん仲間は、その遺志を継ぐべくすぐに活動を継続します。
現在、BLTカフェのような「0円飲食店」は、福島県内に10店舗、「みんなの食糧庫」は、福島県内に2か所、全国に20箇所に広がりました。
そう、はぐちゃんの志は、「夢半ば」ではなく「夢の途中」です。きっと近く叶えられることでしょう。

ぜひ、あなたの街でも始めませんか?
もし、「よし!私の店でも、私の街でも」と手を上げられる方は、半田さんまで。活動のノウハウをご教授いただけます。