どうせやるなら少しでも人のために、楽しんで

ヒダカズのココロの授業

比田井和孝
どうせやるなら少しでも人のために、楽しんで!

昨年末、私の妻でもある比田井美恵が、「今日、衝撃的なことが起きた」と、言って帰ってきました。なにがあったのかと思いきや、どうも、その日は息子の学校の地区の行事があって行ってきたそうです。例年、この頃は次年度の役員を決めるために、今年の地区会長さんが少しずつ根回しをしているそうなんですね。
妻は、ウエジョビの校長なので仕事も忙しく、今までも音楽会や参観日をはじめ、休日の地区の行事にもほとんど行けませんでしたので、役員をお受けするのは厳しい状況でした。ところが、今年の会長さんが、たまたま妻に「○○さんに会長をお願いしようと思ったら、断られちゃって~…」とションボリ話したそうなんですね。もちろん、会長さんは妻の仕事が忙しいことは知っていますから、そんな大役をお願いしようとして言ったわけでもないのですが、その様子を見た妻は、思わず、「私、会長、やろうか…?」って言ってしまったんですって! もう、会長さん、キョトン! として、「えっ? 今なんて言いました?」って感じだったそうです。でも、そのあと、「いや、いや、比田井さんには、何か係だけでもやってもらえれば助かるって思っていただけなのに~。えっ…でも、いいの? ホントにいいの?」…と、こんな感じだったそうです。会長さん、ホントに喜んでくれたそうです。会長さんにしてみれば、「地獄に仏」という感じだったでしょうか。
結局、妻は、そんないきさつで、はずみで地区会長を引き受けて帰ってきました。一番驚いていたのは妻自身でしたね。まさか、自分が会長を引き受けて帰ってくるとは思ってもいなかったでしょうね。だから自分でも「衝撃的な出来事だった」わけです。
でも、私、その話を聴いて、「でかした!」って言いました。もちろん、妻が地区会長さんになんかなったら、間違いなく私のところにもいろんな手伝いや役割が回ってくるのは目に見えていますが、「よくぞ、引き受けた!」という気持ちになったんです。
PTAの役員とか、地区の役員とか、もちろん、大変ですよね。そんなのやらなければ、それで済むことですからね。逆にそれをやったからと言って、お金がもらえるわけでもないですし、目に見えて得することなんてないですもんね。でも、私は知っています。これは大きくなって返ってきます。間違いないです。きっと、来年の今頃、「やって良かった!」って妻は言っているはずです。

この時期、いろんなところで「役員決め」の会議とかありますよね。で、だいたい重~い雰囲気の会議になっちゃったりしません?でも、そこで、「私でよければ、やりましょうか?」って誰かひとり言ってくれたら、ホント、カッコいいですよね。
以前、私のメルマガの読者の方で、「役員決め」の会議に行くとき、奥さんに、「もし、もめたら引き受けてくるから」って言って家を出ました。というメールを頂いたことがありましたが、そのときも、「カッコイイ!」って思いました。
ここで大事なのは、やらされてやっている役員と「どうせやるなら、少しでも役に立ちたい」と思ってやる役員では全然違うということです。「やらされてやっている役員」は、一年中、その愚痴を言い続けます。「なんで私がこんなことしなきゃいけないの…」って言いながら。「どうせやるなら、の役員」は終わったときに、「やって良かったね!」って言います。

そして、もっと大事な事は、その姿を子どもが観ているってことなんです。「やらされてやっている役員」の子どもは、「将来、自分の得にならないことはやらないようにしよう」と思います。そして、いくら親が子どもに「困っている人がいたら助けてあげようね」とか「クラスの係は、責任を持ってやらなきゃ」などと伝えても、まったく説得力がないでしょう。「そんなこと言ったって、お母さんなんていつも役員のことで文句ばかり言っているくせに。言っていることとやっていることが違う!」と思うに違いありません。子どもは親が「何と言うか」ではなく「どういう行動をしているか」という「あり方」をしっかり見ていますからね。
「どうせやるなら、の役員」の子どもは、きっと将来「人が困っていたら、助けてあげよう!」「そして、どうせやるなら楽しくやろう!」と思います。
さて、どちらの子どもの方が幸せな人生になっていくでしょうね。
先日、妻が「会長、引き受けてきちゃった」って言った時、私は息子に言いました。「お母さん立派だね! お前も学校で困っている人がいたら、『僕やろうか?』って言うんだよ」と。息子はうなずいていました。きっと、息子は幸せな人生を歩みます(笑)