あいさつひとつでクラスが変わり、おばさんが号泣した

比田井和孝ヒダカズの 私が一番受けたい「ココロの授業」

あいさつひとつでクラスが変わり、おばさんが号泣した

私が勤務している上田情報ビジネス専門学校、通称「ウエジョビ」では、人間性を高め、「君がいてくれて本当によかった」と言われるような「人財」を育てることを目指し、三つの約束「あいさつ・そうじ・素直」に本気で取り組んでいます。私は、この三つの約束や、「人として大切なこと」を学生たちに伝えるために、全クラスで授業を行っていますが、その授業は書籍「「私が一番受けたいココロの授業」となり、全国で一八万人もの方に読まれ、講演にも呼ばれるようになりました。

先日、群馬で行われる講演会の打ち合わせで、実行委員の小池昭雅さんとお会いした時に、こんな嬉しいお話をお聴きすることができました。
小池さんは、以前、専門学校で先生をされていました。当時は、学内でも比較的モチベーションが高くない(つまり低い)コースの担任をしていて、クラスの雰囲気があまり良くありませんでした。「どうせ、俺らなんかよ! 勉強もできないし!」 なんて言葉がクラス中を飛び交っていたそうです。
そんな時、小池さんは、たまたま本屋さんで拙著「私が一番受けたいココロの授業」を見つけて読みました。この本には「あいさつがいかに大切か」「何のためにあいさつをするのか」ということまで詳しく書かれています。小池さんはそれを読んで、クラス改革を決意します。「せめて、挨拶ぐらいはできるようになろう! クラスの仲間と…あとは、掃除のおばちゃんにも挨拶をしよう!」と学生たちに話しました。
「勉強ができないんだったら、せめて挨拶ぐらい…」
この言葉が学生に伝わって、掃除のおばちゃんにも挨拶をするようになりました。おばちゃんも喜んで、「こんな気持ちのいい挨拶をしてくれる学生は初めてだ!」といつも褒めてくれました。そして、それに伴い、だんだんクラスの雰囲気が良くなってきたのです。挨拶ができる組織は、それだけで雰囲気がよくなりますからね。あいさつのパワーは想像以上でした。
さらに、クラスの雰囲気がよくなると、不思議とみんな勉強も一生懸命にやるようになりました。見違えるように変わった学生たちを見て、それまで、「あのクラスはダメだ」と言っていた先生たちまでもが、どんどん褒めてくれるようになったのです。

そんな中、小池さんが学生たちに「手紙を書いてみよう!」と提案します。「せっかくだから、誰でもいいから、手紙を書いて思いを伝えてみよう! 親でも誰でもいいから」と。学生たちが手紙を書くと今度は、「せっかく書いた手紙だから、直接、その人のところに持って行って読んであげよう」と伝えました。

そのクラスには、実は高校時代、学校を大量に休んでいた学生がいました。不登校というよりは、サボっちゃったという感じだったそうです。三年間のうち半分程しか学校に行っていなかった、そんな学生でした。小池さんも、その学生が誰にどんな手紙を書くのか気になっていたのですが…その学生の手紙の相手は…なんと、毎日挨拶をしている「掃除のおばちゃん」だったのです。
その子はちゃんとそのおばちゃんのところに行って、その手紙を読みました。内容としては「いつも、掃除をしてくれてありがとう。」ぐらいのことで、そんなに感動的なことが書いてあったわけではないのですが、目の前で学生から手紙を読んでもらったおばちゃんは、もう、号泣なんです。「こんな手紙、学生さんからもらったこと一度もない」って言ってボロボロ泣いてくれたのです。
高校時代に、ろくに学校にも行っていなかった子が掃除のおばちゃんを感動で泣かせたんです。この話を聴いていて、もう、私まで涙が出てきました。
この学生、ほんとにいい経験をさせてもらったなぁ、と思うんです。もしかしたら「どうせ自分なんて…」って思っていたかもしれません。でもその自分が書いた手紙を読んであげただけで、ボロボロ泣きながら喜んでくれる人がいる。…きっと、一生忘れない経験になったことでしょう。
掃除のおばさんに感謝の気持ちを伝えようとしたこの学生は、おばさんから感動の涙をもらい、逆に、大きな「自信」を手に入れたのではないでしょうか。まさに「与える者は与えられる」ですね。

きっかけは「あいさつ」です。あいさつひとつでクラスの雰囲気が良くなり、勉強も一生懸命にやるようになり、さらには人を感動させらせるようにもなった…。もしかしたら、この出来事は彼の人生を変えたかもしれません。あいさつ、奥が深いですよね。
そして、そんな貴重な経験をさせてあげられた小池さん、素晴らしいですね! 私は、こんな先生が全国にたくさん増えていくことを願っています。