友に何かあった時、あなたは駆けつけられますか

私が一番受けたい「ココロの授業」
比田井美恵

友に何かあった時、あなたは駆けつけられますか

私は昨年、中村文昭さんの「人のご縁塾」に参加しました。これは、四回の勉強会を通してご縁の大切さを学び、人間力を高めていく集まりです。文昭さんファンの六○名のアツい仲間が全国各地から集まりました。初めに、主催の方がおっしゃいました。「ご縁塾の仲間とは一生の付き合いですから」。…私は息をのみました。今まで「一生の付き合い」なんて言葉を使ったことはありません。そんな「覚悟」を持ってご縁を紡ぎ続けたことがなかったということです。この言葉で会場の空気がサッと変わったように思えました。
そして、この言葉に背中を押されたかのように、その日のワークでは、自分の弱みやトラウマ、普段話さない過去まで赤裸々に話す人が続出し、思わず涙する場面まで。文昭さんの人柄にひかれて集まってきたご縁塾のメンバーは、みんな前向きで、行動力があり、すぐに「安心感、信頼感」が感じられ、初めて会ったとは思えないほど、太い絆ができたように思えました。
それからわずか十七日後、ご縁塾の仲間、通称「フランキー」のブログに、こんなことが書かれていました。

今日、親父が他界しました。最後の時が来ました。でも、誰も大きな声を出さず、静まり返っていました。なぜかと言うとそれは、みんなが予想していなかった「僕が泣き崩れる」ということが起きたからです。僕は心の中で『ありがとう ごめんな 愛しとる』など、色んな声が出つつも涙が止まりませんでした。若い衆の前でも、子供の前でも、僕が涙を流したのは初めてです。
育ててくれて ありがとう
俺の親父でいてくれて ありがとう
愛してくれて ありがとう
守ってくれて ありがとう
とにかく 今日が親父の命日となりました。

…このブログには、涙せずにはいられませんでした。それから二日後、告別式の時のフランキーのブログです。

受付に見たことある人が…と思ったら、ご縁塾の英ちゃんでした。英ちゃんは、笑うとアンパンマンみたいな顔になります。一度しか会ってないのに、僕を見てその笑顔を送ってくれました。焼香が終わりました。僕は喪主なので、坊さんの後ろを位牌を持って歩かなければなりません。でも弔問客の中の英ちゃんに近づいたとき、衝動的に英ちゃんに足が向いて、思わず抱きしめてしまいました。すると、英ちゃんが思いっきり抱きしめ返してくれました。そして耳元で『ありがとう』と言ったと思います。僕はこみ上げる涙を我慢し、列に戻りました。
わざわざ滋賀県から、どうやって調べたのか…。たった一言を言うために、そして多分、僕を励ますために…。これも、親父が作ってくれたきっかけなのかもしれません。失うものもあれば、得るものもある。親父のおかげ、師匠(文昭さん)のおかげ、そして何よりも英ちゃんの生き様のおかげで、心から感動して、心から幸せを感じることができました。英ちゃんありがとう。本当にありがとう。本気で嬉しかった。今の気持ちを言葉にするのは本当に難しいけど、あえて言葉にするなら、「我 生涯の友を得たり」

…驚きました。英ちゃんは、いても立ってもいられなくなって滋賀から名古屋まで駆けつけたのでしょう。その行動力と優しさに心が震えました。
さらにそれから五日後。同じご縁塾の山さんがネットにこんな書き込みをされていました。

今日、名古屋から心友フランキーが長崎のウチの会社を訪ねて来てくれた。彼は、私が今週「ガン」になった事を知り、すっ飛んできてくれた。私は、ひと月程前から体に異変を感じ、検査の結果、直腸がんであることがわかった。八月九月の全ての日程をキャンセルして全力で治療に励む…そう決心した。そんな矢先に、彼は台風のように訪ねて来てくれた。突然のサプライズに涙があふれて止まらず、彼に抱きついてしまった。最先端の医療技術よりも、彼の笑顔は私にとって最高の薬に感じられる。私を励ますため、何時間もかけて名古屋から車を走らせて来てくれた。フランキーという男に出会えた奇跡に感謝! 勇気と力を今日もらった。必ず治して見せる。そして今度は俺がフランキーの力になる。約束だ!

…名古屋から長崎は片道九○○キロ以上。一○時間以上かけて行って滞在わずか一時間。泣けてきます。フランキー自身、お父様が亡くなられてまだ一週間なのに、友のためにと駆け付けるなんて…。
もう、このご縁塾では感動させられること、考えらせられることばかりです。この後も、山さんの所にはご縁塾仲間が続々と駆けつけています。ご縁塾の六○名は全国各地に住んでいますが、そんな距離は全く感じさせません。「遠いから」「忙しいから」なんて言葉、ご縁塾には通用しないのです。人とのご縁を紡ぐ上で、「何回会ったのか」「どこに住んでいるのか」は、実はあまり関係なくて、「どんな思いで」が一番大切なんだと思い知りました。
あれ以来、私は自問自答しています。「友に何かあった時に、私はすぐに駆けつけられるだろうか?」と。私は、まず頭で考えてしまいがちなのですが、とにかく思いのままに…感情に正直に動くことの大切さ、素晴らしさを教えていただきました。こんな仲間達が集まるご縁塾の一員にしていただいている私は、本当に幸せです。