木下晴弘「感動が人を動かす」4

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「感動が人を動かす」4
「真実の瞬間」

「涙の数だけ大きくなれる!」著者  木下 晴弘

2010年の夏は記録的な暑さでしたが、読者の皆さんは体調を崩すことなく乗り切られたでしょうか?
さて、連日うだるような酷暑が続いていた2010年8月14日の土曜日。
クライアント様から講演のご依頼をいただいていた私は、早朝、愛知県のJR国府宮駅に降り立っていました。ここから先はタクシーで会場まで向かわなければなりません。しかし電車の車窓から私の目に飛び込んできたのは、繁華街とは程遠い閑静な町並み。時期はお盆の真只中。しかも早朝。
『こりゃあタクシーを見つけるのは一苦労かも・・・』
と少し心配になりながら改札を抜けました。ところが意に反して、私の目の前に一台のタクシーが止まっているではないですか!!
『ラッキー!今日はついてるぞ~!』
思わず小さくガッツポーズをして、一直線にそのタクシーへと進んでいきました。
私が近づくと、後部座席の自動ドアが開いて、車内から私に向かってニッコリ微笑む運転手さんがいます。そして彼が私の引いているキャスターに気づいたとたんでした。彼はすぐさま運転席から出てこられてこうおっしゃいました。
「おはようございます!タクシーをご利用ですか?」
「はい」
「お荷物。トランクをご利用になられますか?」
「ええ、よろしくお願いします」
「かしこまりました!今すぐお開けしますね」
ここまでは良くあることかもしれませんが、そのとき私は、
『あっ、なんか感じのいい運転手さんだな』
と思っていました。
さて私が乗車し、運転手さんも運転席に着かれ当たり前の会話が始まりました。
「おはようございます!ご利用ありがとうございます!」
「おはようございます!」
「どちらまで行かれますか?」
「勤労福祉会館までお願いします」
と私が言った途端でした。その運転手さんはこうおっしゃったのです。
「勤労福祉会館なら、15分~20分くらいで到着いたします。料金は1,500円前後となります。よろしいでしょうか?」
仕事柄、私はタクシーをよく利用しますが、目的地を告げたとたんにおよその所要時間と料金を教えてくださった運転手さんは初めてだったのです。
「もちろんです!どうぞよろしくお願いいたします」
と返事をした私は思わず次の言葉を発していました。
「運転手さん、とっても気持ちの良い対応をありがとうございます!今日は朝からすごく元気をいただきました!このタクシーに乗れて幸せです!」
「えっ!?そうですか?それはそれは。こちらこそご利用いただきありがとうございます!」
その後の十数分間、車内ではお互いの趣味の話や、この夏の予定など楽しい会話で盛り上がったことは言うまでもありません。
飛行機の機内で、キャビンアテンダント(CA)の方がお客様と接する平均時間は、わずか15秒だそうです。ある航空会社では、この15秒のことを「真実の瞬間」と呼び、すべてのCAさんが全身全霊をかけてお客様をおもてなしするそうです。
この運転手さんは15秒どころか、15分かけて見ず知らずの私をおもてなししてくださいました。
「人を幸せにするために必要な時間はわずか数分で充分である」
ということを教えていただきました!
この日の講演はもちろん大成功!本当に感謝しています!
運転手さんのお名前は川畑さん。名鉄西武交通株式会社稲沢営業所にお勤めの笑顔の素敵な紳士です!