第13回「先生って呼んでいいですか」

熱血先生 今日も走る!!!
「子は宝です」
中野敏治
第13回『先生って呼んでいいですか?』

中学校を卒業して、二十年以上たった今、
また、教え子たちの担任になりました。

インターネットの普及はすごい勢いで進んでいます。
特に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)はすごい勢いで広がっている感じがします。
パソコンに詳しくない私も今でもいくつかのSNSを活用しています。

○先生って呼んでいいですか?

ある日、フェイスブック(SNSの一つ)で私につながってほしいとリクエストがありました。
私へ最初にきたメッセージには「つながっていいですか?友達リクエストをしていいですか?」というものでした。誰なのか最初はわかりませんでした。「○○中学校にいた生徒です」とメッセージが続きました。結婚をして、彼女は苗字が変わっていたのです。彼女からのリクエストを承認しました。
彼女が次に送ってきたメッセージに驚きました。それは「先生って呼んでいいですか?」というメッセージだったのです。
彼女の担任だった二年間、やんちゃだった彼女は、私の指導に反発をしていました。私と何度もぶつかっていました。彼女に、ちゃんと中学校生活を送ってほしいと思い、強い指導もしてきました。スカートを短くしてきた彼女の服装の指導をしていました。喫煙の指導もしてきました。
彼女は私が担任になってから私を「先生」と呼んだことはありませんでした。それほど、私に対する反抗心が強かったのです。
中学校を卒業して二十年以上たった今、彼女から私に届いたメッセージが「先生って呼んでいいですか?」だったのです。

○あの時は寂しかったんだよ。

こんなメッセージも彼女から届きました。
「先生の名前は、少しくすぐったいなぁ〜 (汗)。寂しかった私は沢山迷惑をかけましたね〜。 だから、こうしてフェイスブックで繋がれて感謝しています。照れ臭いかもなぁ〜」
彼女からのメッセージを読み、中学時代の彼女を思い出しました。
私が彼女の担任になったころです。彼女の母親が病気で入院したのです。彼女は、毎日、学校帰りにスーパーマーケットに寄り、夕飯やお弁当のおかずを買っていました。
それから彼女は病院へお母さんの看病に行き、そして帰宅してからは、夕飯の支度をして父を待っていました。朝は早く起き、自分のお弁当を作り、お昼には他の友達と同じようにお弁当を食べていました。
その大好きだったお母さんの様態が悪くなったのは、彼女が進路先を決める頃でした。そのころから、父親は、お酒を飲んで帰る日が多くなっていました。彼女は受験校をどこにしたらよいか、親にも相談できず一人で考えていたのです。
そして、彼女の受験校の合格発表の日が来る前に、母親は亡くなったのです。

○親になり、わかったことがある

彼女とパソコン上で繋がってから、時々私にメッセージを送ってくれるようになりました。
「先生…、いつまでも、いつまでも私の、先生で居てくれてありがとうございます。 私も母になり、大津のイジメや、連日のニュースを見て、自分の子ども達の日々の出来事に振り回されています。自分の事の様に我が子のことを考えていると、どう向き合うのか、毎日が必死だったりして…。そんな時、いつも先生のフェイスブックに救われています。先生のフェイスブックに『いいね』しか出来ませんが、励まされている教え子がここにいます。先生…ありがとう♪」
「先生には、迷惑をかけました。だから、今を頑張って、頑張って、頑張って。もっと頑張って…。でも、足りなくて…。あの時、頑張らなかった分、良いお母さんになりたくて…。我が子には私が病気のお母さんにしてもらいたかった事を精一杯してやりたくて…。
今の私は良い旦那さんと同級生のママ達に支えられています。でも、辛い現実もあります。
そんな時、先生が、先生のまま、フェイスブックで繋がっていてくれたら、もう負けられないって思えるよ。」
親になり、我が子に自分がしてほしかったことをしていこうと、必死で生活をしている教え子に、涙が流れてきました。
彼女は、親になったことで、たくさんのことを学び、いろいろな気づきをし、そして「先生」と声をかけてくれたのだと思います。子に教えられ、子から学び、親となった彼女は成長をしてきたのです。
また、教え子に素敵な生き方を教えられました。
子は宝です。