「子育ては夢そだて」・心のレベルを高めるための3つの修業第三回「気軽に『寄付』のススメ」

「しちだ・教育研究所」の月刊紙「子育ては夢そだて」に寄稿させていただいたお話です。

心のレベルを高めるための3つの修業
第三回「気軽に『寄付』のススメ」
志賀内泰弘

人は思い悩んだり、壁にぶち当たった時、講演を聞いたり自己啓発書を読んで「成功者の教え」を学ぼうとします。たしかに、モチベーションを上がるでしょう。でも、せっかくの金言も実行に移さなければ役に立ちません。そこで、3回シリーズで人生が音を立ててガラリと変わる「誰でもできるカンタンな修業」を紹介しましょう!
初めにオススメするのが「寄付」です。
唐突ですが、どんな人が「成功」するのでしょう?答えはいろいろあると思います。勤勉な人、努力家、夢を諦めない人・・・。でも誰もが「そうだね」と頷くのが「人望のある人」です。何かことを成すには、一人ではできません。多くの人の賛同を得て協力してもらう必要があるからです。
ということは、成功する人の第一条件は「人から応援してもらいやすい人」ということになります。それはどんな人か?そう、いつも周りの人のことを考え、見返りを期待せずに尽くしている人です。きっとあなたの周りにもいるでしょう。頼まれたら断れない人。困った時に相談に行く人が。
「そういう人望」はどうしたら身につけることができるのでしょうか。実は、人のために何かしてあげるのは簡単です。頼まれごとを引き受けることも容易いです。でも、ここで大きな壁に突き当たります。人はついつい見返りを期待してしまうのです。何か人にしてあげると、ついつい「○○してやった」という心が芽生えてしまうのです。どうしたら見返りを期待せずに、人のために尽くすことができるのでしょうか。
その訓練になるのが「寄付」です。例えば、よく駅前で行われている街頭募金。見かけたら、サッと駆け寄りチャリンと入れる。何人もの子供たちが、募金箱を抱えてズラリと並んでいたら、その一つひとつすべてにチャリンと入れてあげる。そういう「癖」を身につけるのです。募金しても、その場では、「ありがとうございます」と言われますが、絶対に見返りはありません。そう見返りのない善行の修業になるのです。
カレーハウスCоCо一番家の創業者・宗次德二さんは、日常的に寄付や募金をされています。道を歩いていてホームレスを見かけると、近くのコンビニでおにぎりとお茶を買い、レジ袋の中にの千円札を入れてそっと手渡す。厳寒の時期には、公演の片隅で凍えている人たちに防寒寝袋をプレゼントする。そんな話を聞くと、「それはお金持ちだからできるんでしょ」と反論する人もいるでしょう。ところが、違うのです。お金持ちだから、寄付をするのではない。そういう「他人のことを思いやれる人」だから「成功」するのです。 宗次さんは言います。
「寄付する時、見返りはまったく考えていません。『ありがとう』とさえ、言われたいとは思いません。『みんなのおかげで、今の自分がある』という感謝の気持ちが大切。「寄付」というのは、その感謝の気持ちの表れなんです」