玉置ゼミ7期生 下野綾巳さん「非常事態~笑顔の発信源」
本日のメルマガは、岐阜聖徳学園大学・玉置ゼミ7期生 下野綾巳さんが書かれたお話を紹介させていただきます。
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「非常事態~笑顔の発信源」
玉置ゼミ7期生 下野綾巳
私は、カフェでアルバイトをしています。もう5年目になります。
ある日、開店準備の為に店に着くと、後輩が倒れていました。気を失っていました。
「大丈夫!!!!ねえ!!!起きて!!!どうしたの!!!」
必死に声をかけ続け、後輩は目を覚ました。「自力で帰れる」と言う後輩。店思いの可愛い後輩です。心配をして、店なんかどうだっていいから送っていくという私に、「綾巳ちゃん、店よろしくね。」と言われた私は、心配でしたが、業務に取り掛かりました。無事に家に着いたと連絡をもらい、とりあえずは一安心。
そこからは、怒涛です。1人でお店を回さなければなりません。最低でも2人体制のお店で、1人で店を回す経験は5年目にして初めてでした。
常連さんばかりのお店です。私のアルバイト史上、初めて経験する非常事態にどうすればいいか頭を悩ませました。1人で営業していては、絶対にいつも通りにお客様の元へモーニングを提供することは不可能です。常連さんの中には、お仕事前の時間を割いてくださっている方もいらっしゃいます。ここは、本音で、本当のことをお伝えするしかないと腹を括り、お客様全員にお叱りを受ける覚悟で「すみません。本日、1人で営業をしておりまして、モーニングの提供にお時間を頂きます。なるだけ、早くお出しできるよう心がけますが、お許し頂けますでしょうか。」と。
怖々と顔を上げると、「いいよ、いいよ!!待ってるよ。ゆっくりで大丈夫だから。」とにっこり笑顔がそこにはありました。どのお客様もです。
しかし、やはり1人での営業です。モーニングの提供は、いつもより遅くなってしまいました。いつもお仕事前、お忙しいお客様です。その方がいらっしゃると、「早めにお出しすること!」のサービスが定着するお客様。「大変お待たせしました。お仕事前の大切なお時間に、お待たせしてしまい申し訳ありません。」とお伝えすると、「全然。待っていないよ。いつも通りじゃないか。それに、1人でよくやってる。えらいよ。いつもありがとう。ここにいるみんなはちゃんと貴方の仲間だから。大丈夫。ゆっくりでいいんだよ。」と。ここにもまた、にっこり笑顔がありました。涙が溢れそうでした。
段々と店が落ち着く頃、常連のご年配の方がお帰りになる際に、「いつも優しくしてもらってるからね、こんな時ぐらい、いくらでも待ってられるよ。それに、全然ゆっくりなんかじゃないよ。貴方テキパキしてるからね、みんな見ているよ。ちゃーんと頑張ってるの知ってるから。頑張るんだよ。」というお言葉を頂きました。一人で店を回さなければならない緊張感と不安だった私の心がスッと軽くなり、笑顔で「ありがとうございます!またお願いします!」と大きな声でお見送りさせて頂きました。
私のアルバイト史上初めての非常事態。お客様の笑顔と優しさを頂きました。「笑顔の発信源」でありたいという、私の接客の信念は、お客様からこんな形で優しさを受け取れるものなのかと心がとても晴れやかになりました。
自分が苦しい時、人に本当のことを話したり、頼ることはとても怖いものです。でもそこに、人と人との繋がりがあり、それが笑顔で結ばっているのなら、何事も乗り越えられるのだと思います。
私は今日もまた、お客様の「笑顔の発信源」でありたいと、感謝の心を持って。今度は、また私がにっこり笑顔をお客様にお届けできるように。
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(編集長・志賀内)
素敵なお話ですねぇ。
お店のスタッフとお客さんが信頼で結びついている。
もちろんカフェは商売なのですが、「お金」の問題ではない。
心が結ばれているから、「緊急事態」にもお客様から「やさしい笑顔」をかけていただける。
ここに、「働くとはどういうことか」という答の一つがあると思いました。