玉置崇さんプロフィール

教育界にIT革命を起こす
落語もできる教授

岐阜聖徳学園大学教育学部教授

1956年生まれ。公立小中学校教諭、国立大学附属中学校教官、中学校教頭、校長、県教育委員会主査、教育事務所長などを経て、2012年から3年間、愛知県小牧市立小牧中学校長。2015年度より岐阜聖徳学園大学教育学部教授。

文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「小中一貫教育に関する調査研究協力者」委員、「ICT活用アドバイザー」などを歴任。

著書に「落語流 教えない授業のつくりかた」(共著・令和4年・誠文堂新光社)、『いのちの授業』をつくる」(共著・令和4年・さくら社)、「中学校数学授業 発問・言葉かけ大全 生徒が考えたくなるキーフレーズ100」(単著・令和4年・明治図書)など、多数。年間100回ほどの講演を引き受け、玉置流・学校経営や授業力向上法を伝授している。

学校管理職時代は、人集めのために授業参観で卵を売ったり、落語家を学校に呼びコラボしたりと、常識にとらわれず挑戦をし続けた。大学人となってからは、教員を目指す学生に「教師論」や「生徒指導論」を通して、教師魂を教えている。

志賀内泰弘

変人仲間の玉置崇さんの出逢い

20年近く前、玉置さんが、うちの近所にあるデニーズまでわざわざ来てくれて、
こんな話を聞かせてくれたことが、強烈な印象に残っています。

玉置さんが、愛知県の公立中学の教頭を務めておられた時のことだそうです。
教頭という仕事は、校内実務を取り仕切ることです。
たくさんの悩み事を抱えていました。
その一つに、授業参観になかなか保護者の皆さんが参加していただけないというがありました。
どうしたら、参加者を増やせるか。

そこで、ひらめいたのが、スーパーマーケットで、10個入りの卵パックを大安売りして、客寄せに使うという手法でした。
「学校で卵を売ろう」
そう思い立った玉置さんは、卵の卸売りをしている友人に頼んで、
大量の卵を仕入れます。

ただ、問題は、そういうことを学校が許可してくれるかどうかです。
もちろん前代未聞のこと。
恐る恐る校長に進言すると、
「君が責任を取れるなら」
という返事。
よし!と実行します。

結果は大成功。卵の安売りに引かれて、大勢の保護者が学校に訪れたといいます。

そんな変わった先生、聞いたことがありません。
その後、玉置さんは、教員委員会への出向と校長職を歴任し、岐阜聖徳学園大学の教授に招かれます。教師になりたい学生を育てるためです。

そして、大学でも、「変人振り」を発揮し、とてつもない大発明をしてしまうのです。
それが、「心の天気」なるアプリです。
子供たちが毎朝登校すると、授業の前に情報端末機を開く。すると画面には「はれ」「くもり」「あめ」、そして「かみなり」という四つの天気がイラストで現れる。
例えば、「はれ」は太陽、「あめ」は傘というように。
子供たちは、その日その時の「心の状態」をポチッと押します。
それは担任の先生はもちろんのこと、学年主任や校長、養護教諭など、校内職員全員が一覧できるという仕組みです。

「あめ」とか「かみなり」を押した子供がいたら、すぐさま先生は声をかけます。「くもり」が続ければ、よ~く観察する。さらに、コメントも書けるようになっていて、「友達とケンカした」と書かれていたら事情を聞いてあげるのだそうだそうです。「先生、〇〇さんは独りぼっちだと知っています」と、クラスメイトのことを気遣う子供もいる。

すごいアプリでしょ!
既にこのアプリは、全国千以上の小中学校で活用されています。
いじめに遭っている子供は、親に助けを求められないケースが多いと聞いたことがあります。
いじめられていることを自分で認めてしまうことになり、ひいては「自分はダメで価値のない人間なのだ」と自己否定することになるからだというのです。

大学の「玉置ゼミ」からは、未来の日本を担う「先生」が大勢誕生しています。
こちらのコーナーでは、そのゼミ生たちの「心温まるエッセイ」も紹介させていただきます。

変人バンザイ!
変人が閉塞する日本を変える!
そう強く信じます。

変人代表・志賀内泰弘