「一流への道」

渡辺経営コンサルタント事務所 季刊誌「かけはし」vol.115号(令和5年4月号)

プロ野球の読売ジャイアンツが日本シリーズで九連覇したときの監督は、〝打撃の神様〟といわれたあの川上哲(てつ)治(はる)さんです。

川上さんが以前、テレビのインタビューで次のような質問を受けていたことがあります。「ジャイアンツに入団してくる選手で、将来一流のプレーヤーになるか、二流のプレーヤーで終わるかという見極めはあるのですか?」と。

それに対して川上さんは、次のように答えていました。

「将来、一流のプレーヤーになる選手は『プロ野球選手として活躍していくためには、常日頃どのような心構えで日々の生活を送っていったらいいですか』と質問してくる。しかし、二流のプレーヤーで終わる選手は、ピッチング技術やバッティング技術のことばかり質問してくる。技術の向上よりも、プロ野球選手として、日々の心構えや心掛けを早く身につけた選手の方が伸び、大成するようだ」と。

現在、アメリカのメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手が、高校時代に目標と日々の心掛けをまとめた「マンダラチャート」は有名ですが、一流のプレーヤーになるためのお手本となる心構えだと思います。

また以前、新聞に、ホテルでベッドメーキングやお部屋の掃除を担当している方が、次のような記事を投稿しておりました。

「私は、ホテルでお客さんが出かけた後の部屋を片付ける仕事をしていますが、スポーツ選手が泊まったときに、よい成績を上げている選手が使った後の部屋はたいていきれいに片付いているのに、あまり成績が良くない選手の部屋は、片付けられずに散らかっているのです。ただ、日ごろ、成績が良い選手でも、時に部屋が片付いていないときがあります。それは、調子を落として思うような成績が上がらなかったときです。スポーツ選手の力は、きちんと生活をするという生活の力と関連しているようです」と。

スポーツのみならず、あらゆる分野で一流といわれる人は、技術だけが素晴らしいのではなく、身の回りをきれいにするという心掛けも一流のようです。一流と二流の差は、どうやらこのあたりにあるようです。私も、常日頃の心構えと心掛けという良い生活習慣を身につけていきたいと思います。