忍者会員再び参上! (2008/1/20)

 先日、小欄で一宮市の黒田小学校校長、平林哲也さんの「忍者会員募集」の試みを紹介した。忍者の三つのおきて「音を立てずに歩きます。いつも周りに注意します。弱い者を助けます」を守れるかを確認して、忍者会員証を渡す。すると廊下を走る児童が少なくなりけがが激減したというものだ。

 その話を聞きつけた同じ一宮市の六浦政明さんは、自らが園長を務める一宮女子短大付属一宮幼稚園でも忍者を募集。五歳から六歳の年長組の六十九人が、忍者会員証をもらうために園長室の前にずらりと列をつくって並んだ。六浦さんは一人ずつ丁寧に三つのおきてを説明して会員証を手渡す。忍者のイラスト入りだ。みんな喜んでかばんの中にしまう。

 園内はソロリソローリと歩く子どもたちでいっぱいになった。でも頭で分かっていても、ついつい走ってしまう子もいる。すると隊長(担任の先生)に会員証を取り上げられる。その子は泣きながら「返してえ」と園長室にやってくるという(かわいいなあ)。六浦さんが「どうして取り上げられたと思うの」と聞くと、子どもは「何回も走ったから」と素直に答える。もう一度、守れるか確認をして返してあげる。

 「〇〇君が廊下を走ったよ」とか「△△ちゃんが人の悪口を言ってたよ」と、ご注進に来てくれる子もいる。だが六浦さんは直接呼んでしかったりはしない。報告してくれた子に「走ったりすると会員証を取り上げるって園長先生が言ってたよ、と伝えてね」と言う。

 「小学校に上がったとき、落ち着いて人の話が聞けたり、友達同士が助け合えるようになってほしい。早くから漢字が読めることよりも生活習慣を身に付けることが大切なのです」と六浦さん。忍者会員証は園児の宝物になっている。