今年も『ありがとう』探し (2008/7/4)

 筆者が小学生のころの話。遠足のたびに母親が、おにぎりと卵焼きを作ってくれた。「また同じかあ」と舌打ちした。中学に入ると、毎日弁当を作ってくれた。「おかずの汁が漏れて教科書に染みてたぞ」などと、ここでも文句ばかり。それから三十年後のある日のこと。何かの折に「昔、弁当作ってくれたよね、ありがとう」と言ったら「今さらでもうれしいわ」と喜んでくれた。

 一昨年の夏休み、「ほろほろ通信」では小・中学生の皆さんに、「ありがとう」を何度も使ってみよう、と呼び掛けた。すると小学五年の男子から、自由研究で取り組んだと報告が届いた。

 その中の一つ。友達と遊んで家に帰る時、「一緒に遊んでくれてありがとう」と言ったら、「これからも友達でいような」と言われた。うれしくて、また「ありがとう」と答えた。その友達とはずっと友達でいたいなあ、と思ったという話。

 今になって思う。当たり前のことだと思うと「ありがとう」って言えない。家族や友達など身近な人には、照れくさくて言いにくい。本当は、もっと「ありがとう」を言う人や機会はたくさんあるのではないか。

 今年も「ありがとう」をもっともっと言ってみよう、という提案をしたい。名付けて「ありがとう探し」。いっぱいあるはず。でも恥ずかしくて、口にするのは勇気がいるかも。どんな場面で言い、あるいは言われ、どんな気持ちになったのか。夏休みの終わりに報告してほしい。もちろん、友達の話や大人の方からの報告も大歓迎。