町に広がる親切の輪 (2009/4/26)
以前紹介した、車いすの生活をしている三好町の山口主(つかさ)さんから、またまた「いい話」が届いた。
スーパーに買い物に出掛けた時の話。アルバイトの女子高生が、レジで声を掛けてくれた。「雨が強くなってきましたよ。大変でしょう。ぬれますから車まで送りますよ」と。いつも一人で車を運転して来ていることを知っていてくれたのだ。でも、ほかのお客さんが並んでいたので「ありがとう」とだけ言って遠慮した。
ずぶぬれになることを覚悟して車の所まで車いすを動かし始める。ふと気付くと、体に雨が当たらない。振り向くと見知らぬ人が、後ろから傘を差し掛けてくれていたのだ。レジのところで見かけた五十歳くらいの女性だった。おそらく、レジの女子高生との会話を聞いていてくれたのだろう。「ありがとうございます。奥さんの方こそぬれてしまいますよ」。山口さんに差し掛けるため、本人が傘からはみ出てしまっていた。
こんなことも。いつも利用するコンビニは手動ドアだ。車いすでの出入りは難儀する。ある時、アルバイトの女子大生がカウンターから飛び出して来て、ドアを開けてくれた。その店では初めてのことだった。それ以後、ほかのアルバイトの人たちも山口さんの姿を見かけると介助してくれるようになった。三年がたった。店員が何人も替わった今も、それは引き継がれているという。
そんなさまざまな気遣いは、山口さんが車いすで町へ出るようになった十三年前と比べて、明らかに広がっているという。