あいさつで人生が変わる (2010/9/12)

 七月十八日付「ほろほろ通信」で募った「あいさつ」の体験談の第三弾。名古屋市南区の内山美恵子さん(63)は二十五歳で結婚。ご主人が養子に来てくれた。新婚旅行から帰った翌朝のこと。先に起きて朝食の支度をしていると、ご主人が二階から下りてきて、内山さんの両親に「おはようございます」と言った。実は内山さんの家では、家族同士で「おはよう」と言う習慣がなかった。その一言のおかげで、すぐに家族として打ち解けて仲良く暮らすことができたという。

 内山さんは細い道路を自転車で通るとき、前を歩く人に声をかける。「右側を通らせてもらいます」。すかさず「ありがとうございます」と添える。社会保険事務所で手続きする際も同じ。長く待たされても「助かりました。ありがとうございます」と言うと、無表情な担当者が「頑張ってね」と答えてくれる。「すみません」ではなく「ありがとう」と言うのがポイント。

 動物や植物にもあいさつする。枯れてしまった仏壇のキキョウに「きれいに飾ってくれてありがとうね」などと。ご主人は五年前に他界。しかし、ご主人譲りのあいさつの習慣が、今も自然と口に出るという。

 内山さんは以前、小学校の先生をしていた。気が小さくてなかなかあいさつができない子もいる。そんなとき、先生の方から「おはよう」「こんにちは」と声をかける。「一般的に、あいさつは目下の者が先に言うのが世の習いです。それにこだわらず、大人が手本を示してあいさつすることが、住みやすい社会をつくるために必要なのでは」とおっしゃった。