通勤途中のそうじのおじさん (2010/9/26)

 豊橋市の森岡明美さん(58)は、自家用車で通勤している。その途中の道で見かける光景について便りをいただいた。

 三年くらい前から、歩道や車道のそうじをしている人たちをときどき見かけるという。四十から五十歳くらいの七、八人の男性で、全員が同じ黄緑色の作業服を着ている。何度か見るうちに、通りに面した平屋の小さな会社の社員さんらしいことがわかった。

 ところが、そうじをするのは、自分たちの会社の周りだけではない。その範囲はずいぶん離れた場所にまで及んでいる。半径五十メートルはあろうか。森岡さんは、ついつい自分の夫の姿と重ねてしまった。ご主人は家ではほとんどそうじを手伝ってくれたことはないという。きっと、あの人たちも自宅ではそうじをしたことなどないのかもしれない。それが証拠に、なんだかほうきとちり取りを持つ手がぎこちない。みんなから見られているせいか、ちょっと恥ずかしげにも見えた。でも、その一生懸命さが愛らしく思えてしまう。

 「うちの主人も会社ではそうじをしているのかなあ」「最初のころより、ササッとほうきの使い方がうまくなったなあ」などと思いながら通勤する。気がつくと、朝から自然と笑顔になっている自分がいた。それだけで、その日一日が元気になれる。

 森岡さんから、そうじをしているおじさんたちへ。「ご近所の人たちも通勤のドライバーも見てますよ。きっとみんな自分では手伝えなくても感謝していると思います。ずっと応援してますね。ありがとう」