お巡りさんのおかげです (2010/10/17)

 名古屋市東区の中島昌也さん(33)には、人生を変えたとも言うべき思い出がある。小学二年生くらいのころのこと。近所の道端で百円玉を拾い、交番に届けた。お巡りさんは書類を作り終えると、自分の財布から百円玉を中島さんに差し出した。「ぼく、いいことをすると、いいことがあるんだよ」と言って。

 もう一つ。中学三年生のとき、弟が友達とやんちゃをして警察から保護者の呼び出しがあった。ところが、母子家庭だったので母親は働きに出掛けており留守。中島さんが父親代わりになり弟を迎えに行った。お巡りさんは「この子はほかの子たちと違い、たまたまその場にいただけだとわかっているよ」と言い、二人を家まで送ってくれたという。その道すがらこんな話を聞かせてくれた。「僕たち警察官は悪い人を捕まえるのも仕事なんだけど、悪いことをさせないようにすることも仕事であり喜びなんだよ」

 中島さんが高校生になったころ、悪い仲間に誘われそうになった。しかし、この二人のお巡りさんの言葉が心に残っていて、きっぱりと拒むことができた。さらに、二十歳のころ財布を拾ったときのことだ。中には大金が入っていた。正直に言うと少しだけ心の中の悪魔がささやいたという。でも、やはりあの二人のお巡りさんの言葉がよみがえり交番に届けた。

 「今自分があるのはお巡りさんのおかげ。警官の不祥事が報道されますが、大部分の方はまじめで思いやりがあることを私は知っています。信じて応援している市民もいるので頑張ってください!」