事故現場に現れたタイガーマスク (2011/2/20)

 1月29日午後7時すぎ、森林公園ゴルフ場前の道路でのこと。尾張旭市の三代川裕美さん(51)の息子さんが自動車事故を起こしてしまった。車は天地がひっくり返り10メートルも滑って止まったが、幸い対向車も通行人もなかった。なんとか窓からはい出したという。

 そこへ通りがかりの二台の車から男性が駆けつけてくれ、大破した車を脇へ寄せてくれた。さらに三人の若い男性も加わった。発煙筒をたき、警察官と一緒になり「車通しま~す」「了解しました」などと大声で現場の交通整理をしてくれたという。寒さの中、服や手が汚れるのもかまわずに。

 一人の男性の車の中には、奥さんと小学生のお子さん三人が乗っていた。これからレストランへ食事に行くところだったという。連絡を受けて飛んできた三代川さんが「お出掛けのところ申し訳ありません」と言うと「お父さんがいいことをしているんだから待っているよ」と笑顔で言われたという。名前や住所を何度も尋ねたが教えてもらえなかった。

 「通り過ぎたけど気になって戻って来ました」と声をかけてくれたのは看護師の女性だった。息子さんの具合を診て「外見は無傷でも後遺症が出ることがあります。必ず病院に行くように」などとアドバイスしてくださった。皆さんのことがタイガーマスクのように思えたという。

 三代川さんから助けていただいた方々へ。「ありがとうございました。息子は奇跡的に無事でした。ちょうど2月1日に二十歳になった息子も、皆さんのような大人になってくれたらと願っています」