戸越峠のクリーン大作戦 (2011/2/27)

 豊田市藤岡中学校校長・梅村清春さん(57)から「ぜひ皆さんに知ってもらいたい話があります」と便りが届いた。この地域では10年ほど前、短期間に人口が増加。中学の生徒数も倍増した。そのためか落ち着きのない態度の子どもが目立ってきた。住民の間にも「地域の親交をもっと深めよう」という声が聞かれるようになった。そんな中、保護者や有志が「ぺんぎんむら」というグループを立ち上げ「誰もが愛着の持てる町にしよう」と清掃活動に取り組み始めた。

 藤岡町の戸越峠。深い谷川には不法投棄された産業廃棄物や家庭のごみがあふれ「廃棄物の巣窟」と呼ばれている。家庭ごみのほか、タイヤや電化製品。さらには自動車まで捨てられているという。まずは道端の草刈りとごみ拾いから始めた。そうじをしても、そこへ捨てていく人がいる。悔しくて涙することもあったという。

 年に一度「クリーン大作戦in戸越」と名付けた清掃イベントを行う。昨年12月で7回目。これには大人だけでなく、藤岡中学の3年生50人も参加。生徒たちからは「軍手もズボンもぐちゃぐちゃになって寒かったけど、皆で力を合わせるのが楽しかった」「終わった後の豚汁がおいしかった」「車まで捨ててあるのにはびっくり。でも作業後は気持ちがよかった」など毎回大反響。

 残念ながら汚れた谷は2キロにも及ぶ。いつ全部がきれいになるかめどさえ立たない。梅村さんはおっしゃる。「それでも『ぺんぎんむら』の皆さんと一緒に清掃を続けます。いつかこの活動が地域全体に広がることを信じて」